09/02/04
■ 標準寒天培地と好気性菌について
【質問】
 はじめまして。いつも参考にさせていただいております。私は食品会社の研究所に勤務している●●と申します。以後, よろしくお願いいたします。2つ質問させてください。

(1) 食品の一般細菌数を測定する際に,「標準寒天培地で混釈培養」を行います。文献によっては「混釈させて寒天が固まった後に, さらに上から培地を加え重層させる」と書いているものがありました。一般的には重層する必要はないかと思っていますが, 培地を重層させることで, コロニーの出方や出てくる菌数, 菌の種類, コロニーカウント上のメリット・デメリットなど, 何かしらの影響があると考えられますか??? (例えば, 培地を重層させることで, 菌を含む寒天培地〔重層させた下の培地〕の空気接触面がなくなるため, 溶存酸素量に影響があるとか)。

(2) また, 食品衛生検査指針などでは, 上の方法で「好気性菌」が生えるとありますが, 例えば酢酸菌などの“偏性好気性菌”は以下のa, bのどちらで生えてくるのでしょうか??? (この場合, 培地を重層させないやり方として)

 a. 培地表面だけ生える
 b. 培地表面にも寒天内部にも生える

 どういうことかというと, 以前この質問箱で「寒天培地中にも酸素が溶存しているため, 寒天培地中は嫌気状態ではない」とあったのですが, 寒天培地中には偏性好気性菌が生育できるだけの十分な酸素が含まれているものなのでしょうか???

 ややこしい内容で申し訳ありませんが, ご教授のほどよろしくお願いいたします。

【回答】
 (1) メリットは (1) 遊走する細菌の遊走防止と(2) 増殖速度が速い微生物が存在していた時に, 遅発育の細菌のコロニーを迅速発育の菌が覆うことを防ぐことです。デメリットは、培養開始までに時間がかかることです (培地が固まり, その上に重層してさらに固まる時間のことです)。

(2)「bの培地表面にも寒天内部にも生える」と回答者は考えますが, 結論するまでに保有している“偏性好気性菌”を使って, 平板塗抹法と混釈培養法を同時に行って自分で確認します。一口に“偏性好気性菌”といっても, 酸素への依存度は菌株により違うと考えるためです。

(日水製薬・小高 秀正)

【質問者からのお礼】
 こんばんは。回答いただき, ありがとうございます。なるほど, 一口に偏性好気性菌と言っても様々なのですね。

 “平板塗抹法と混釈培養法を同時に行って自分で確認します”・・確かにその方法であれば何がしかの答えが得られますね。勉強になりました。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。


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