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【質問】
はじめまして。看護師をしております。
インフルエンザの迅速診断キットで検体を採取する場合, 説明書では“鼻腔拭い液”を採取する場合,
鼻甲介を数回擦るようにして粘膜表皮を採取するとあるのですが, 同じ職場の方で「患者さんに鼻をかんでもらい,
ティッシュに付いた鼻汁を綿棒に採ったり, “鼻くそ”でも検査が出来る」と言われている方がいるのですが,
その方法でも検体としては良いのでしょうか??? 鼻腔に綿棒を入れられると患者さんの苦痛もあると思うのですが,
私は説明書通りが正しいのかなと思っています。教えてください。
【回答】
「インフルエンザウイルスの増殖部位は, 上気道粘膜, 特に鼻咽頭の粘膜細胞」ということがわかっていますから,
綿棒を使ってその部分の細胞を擦り取ることがもっとも効率のよい検体採取法であることは間違いありません。しかし近年,
特にインフルエンザ迅速診断キットの分野では, 発売初期の頃に比べてはるかに技術的には改良されていますから
(検出限界など), ご指摘の「鼻かみ」の鼻汁を検体として検査することができれば,
患者の苦痛も少なく, 非常に理想的であると思います。特に流行期における典型的なインフルエンザの症例では,
この検体採取法によって陽性反応が得られる可能性は十分高いと考えます。「鼻をかむ」ことのできる年齢
(おそらく4〜5歳以上くらいでしょうか) の患者には朗報となるでしょう。ただ,
現在市販されているインフルエンザ迅速診断キットの中には, このような検体採取の承認を得たものはなく,
使用方法としては正式に認められているものではないという注意が必要です。
(デンカ生研・星 綾香)
【追加回答】
“鼻甲介を数回擦るようにして粘膜表皮を採取する”という検体採取の方法は,
従来から行われてきた「蛍光抗体法」の名残りだとも考えられます。蛍光抗体法では,
採取された検体に粘膜細胞が数多く含まれていることが必要です。何故なら, 蛍光抗体法ではウイルス粒子ではなく、ウイルスの感染した細胞を検出するからです。これに対し,
最近開発されてきたインフルエンザ迅速診断キットではウイルス粒子 (抗原) そのものを検出するため,
特に粘膜細胞を必要としません。ただ, 粘膜細胞の周辺には多量のウイルス粒子が存在しますので,
検出性能が高いとも考えられます。
(琉球大学・山根 誠久)
【質問者からのお礼】
インフルエンザの検査について質問させていただいた者です。ご丁寧な説明ありがとうございました。勉強になりました。私も,
患者さんの苦痛が少なく済む検体採取法で検査ができる迅速診断キットが出来ることを願っています。
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