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【質問】
当ホームページでいつも勉強させていただいております●●県在住の薬剤師です。インフルエンザ菌に対する疑問があり,
メールさせていただきました。
インフルエンザ菌のうち莢膜をもつタイプは, 髄膜炎をはじめとする侵襲性の全身感染症を引き起こしますが,
中耳炎などの局所感染の原因菌にはなりにくいということを聞きました。莢膜型のインフルエンザ菌が局所感染を起こしにくい理由は何かあるのでしょうか???
また, ヒブ (Hib) ワクチンが発売されましたが, 無莢膜型のインフルエンザ菌に対するワクチンの開発につきましても何か知見がございましたら,
併せて何卒ご教授いいただきたくお願い申し上げます。
【回答】
莢膜型のインフルエンザ菌 (Haemophilus influenzae Type b) は,
免疫機構を逃れて血流に入りやすく, 髄膜炎, 敗血症などを起こす他, 局所的な感染としては喉頭蓋炎,
蜂窩織炎, 肺炎や膿胸の原因になります。無莢膜型のインフルエンザ菌 (nontypeable
Haemophilus
influenzae) が健常人の30〜80%の上気道に定着しているのに対し, b型インフルエンザ菌はその保有率がワクチンを接種してない場合でも2〜4%に過ぎないこともあって,
中耳炎の起炎菌としては重視されません。無莢膜型のインフルエンザ菌は乳幼児の中耳炎の起炎菌として,
また慢性閉塞性肺疾患の急性増悪や副鼻腔炎の原因として重要です。ワクチンの開発も行われており,
インフルエンザ菌の表面に存在するリポ蛋白質であるD蛋白質がワクチンの成分として期待されているようです。
(虎の門病院・米山 彰子)
【質問者からのお礼】
明確なご回答ありがとうございました。今後も細菌と感染症の勉強をしていきたいと思いますので何卒ご指導いただきますようお願い申し上げます。
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