■ 飲料水の細菌検査 | |
【質問】
飲料水の検査についてお尋ねします。食品工場内の洗浄水の検査を定期的にしておりますが, 公定法に従い, 水 1 mlを約20 mlの標準寒天培地で混釈の後, 35度培養後に判定しています。24時間培養後の判定では極小コロニーの場合は困難で見えにくいので, さらに24時間室温放置後に確認しています。公的機関の場合は, このような (判定困難な) 時, どのように判定に対処しているのでしょうか??? また, 培地の特性として, 水の検査が24時間と定められている理由も教えていただきたいのですが。 【回答】
「一般細菌とは、標準寒天培地を用いて36±1℃で24±2時間培養したとき、培地に集落形成するすべての細菌をいう」となっています。この条件で、質問者が確認できる集落すべてを数えて一般細菌数として下さい。公定法の場合, 培地量は約15 mlとなっています。備考として,「食品検査、工場排水における細菌検査の成績と対比する場合には、48±3時間培養後の菌数をもとめておくとよい」とも記載されています。回答者の経験では, 35℃で24時間培養後, 室温で24時間放置すると, コロニー径が大きくなるだけでなく, 35℃で発育できなかった菌も増殖してきます。また, 室温は夏と冬では大きく温度が異なりますので, 夏と冬で菌数結果の変動がでてくることが予測できます。水の検査が24時間と定められた理由はわかりません。上水試験法の解説編を参考にしますと, わが国では1904年 (明治37年) の上水協議会「協定試験法」の細菌学的試験法の項目の中で,「細菌聚落数に據る評語は水1立方センチメートル中51以下を純良、51以上100以下を良、101以上を不良水とすること」, また飲料適否の判定の項目の中で「細菌聚落数100個以上のものを飲料不適、但し土地の状況に依り151又は201以上となすことあるべし」と定められたのが最初と記載されています。昔は上質の寒天が入手困難であったため, 培地にゼラチンを用いていて, ゼラチンは25℃前後で溶解し始めるため, 培養は22℃であったようです。1978年 (昭和53年) に, 使用する培地が普通寒天培地から標準寒天培地に変更され, 現在に至っていると書かれています。 (日水製薬・小高 秀正)
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