07/04/06
■ “充分な増殖または接種菌数の回収”とは
【質問】
 最近, 品質管理の業務を担当するようになり, 微生物の試験方法について質問があるのですが・・・

 局方の一般試験法, 微生物限度試験法における, 「培地の性能試験及び発育阻止物質の確認試験」の項に,「指定された温度で5日間培養したときに, “じゅうぶんな増殖または接種菌数の回収”が認められなければならない」という記載がありますが, “じゅうぶんな増殖または接種菌数の回収”というのは, 具体的にどの程度のことを言うのでしょうか??? コントロール培地や接種菌数に対して“±50%以内”というのを目安にしていますが, 根拠がよくわかりません。本件に関する記載がされている成書や文献, ガイドラインなどがありましたら, ご紹介ください。よろしくお願い申し上げます。

【回答】
 新訂版GMP微生物試験法 (川村邦夫・佐々木次雄・棚元憲一/編, 講談社サイエンティフィク, 2000年6月1日第1版) を参考にして回答します。

 微生物限度試験法は, 第十二改正日本薬局方 第二追補 (1994年) の一般試験法に初めて収載されました。「培地の性能試験及び発育阻止物質の確認試験」の方法として, カンテン平板混釈法, カンテン平板表面塗抹法, メンブランフィルター法, 液体培地段階稀釈法 (最確数法) があります。第十三日本薬局方 (以下, 第十三局と略す) を解釈して, 本書の判定では「菌液のみを接種した試料非存在下の菌数と, 菌液と試料を接種した試料存在下の菌数とを比較し, 大きな差がない (1/5から5倍の範囲) ことを確認する」となっています。回答者の調べた結果では, 第十二局追補 (1995年発行, 広川書店) では判定の基準がありませんでした。第十三局 (1996年発行, 広川書店) で初めて判定の仕方について書かれていて, 第十四局 (2001年発行, 広川書店) および第十五局 (2006年発行, 広川書店) では試料の有無での差が“1/5以下の場合”のみについて書かれていました。以上のことより, 第十三局を参照してください。

(日水製薬・小高 秀正)


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