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【質問】
いつも「質問箱」を参考にさせていただいております。食品会社に勤めています。わたしの会社ではLB培地に馬脱繊血を5%いれて,
ある菌数を調べていますが, そもそも馬脱繊血とは具体的にどのようなもので,
培地に混入することでの利点を教えてください。
【回答】
“馬脱繊血”とは, 馬から採血した血液 (全血) より凝固因子のひとつであるフィブリノーゲン
(fibrinogen) を取り除いた血液を意味します。フィブリノーゲンが取り除かれているので,
血液は固まりません (凝固しません)。採血した馬血液にガラスビースを入れて撹拌すると,
ガラスビーズの表面にフィブリノーゲンから形成されたフィブリンが付着して取り除かれます。
寒天培地に動物の血液を添加する意味は, 動物血液を菌発育に必要な栄養素とする菌種を発育させるためです。また基礎培地では発育が遅い,
あるいは菌集落が小さい菌株, 菌種の発育を旺盛にする目的で使用されます。
(琉球大学・山根 誠久)
【質問者からのお礼】
丁寧に教えて頂き有難うございました。LB培地に馬脱繊血を添加して乳酸菌数を測定していますが,
添加する培地の温度にも気をつけていますがBCP加プレートカウントほど乳酸菌数が検出されません。馬以外の羊,
兎の脱繊血も見受けられるので1度試してみようかと考えております。菌種によっては使い分けるのが良いのでしょうか???
【回答】
菌種によっては, 血液の添加で菌発育が促進されるもの, 逆に血液の成分によって菌発育が抑制されるものもあります。また,
血液を基礎培地に添加する前に加熱しておいてチョコレート培地にする方法も使われます。伝聞情報ではなく,
実際に試してみて, その実感を味わうことも大切だと思います。
(琉球大学・山根 誠久)
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