08/01/18
■ 寒天培地への接種量
【質問】
 食品会社にて品質管理を担当しております。

 早速ですが, 当社では, 食中菌検査ではDHL寒天培地, TCBS培地, マンニット食塩培地にて平板培地を作成し, 滅菌コーン棒にて塗抹しますが, 分注量が0.25 mlと多いのです。TCBSにおいては0.50 mlと倍の量を分注してます。しかし, 試薬会社, ネット, 食品検査指針で調べましても, どの検査も0.1 mlでよいとの答えでした。上司に回答を求めましたが, “当社のフードコーディネーターの方の指導なので”という返答でした。実際は0.1 mlでいいのでしょうか??? 

 当社は検体のグラム数も少なく, 正しい結果が出ているのか疑心しております。なかなか他社の検査内容を知る機会もなく, 正しい検査の手技等を回答いただけると助かります。

 現在, 当社では検体量10 gramで大腸菌群 (デスオキシコーレイト), 一般生菌 (標準寒天), 真菌 (ポテトデキストコーレイト) を検査してます。申し訳ありませんが宜しくお願いします。

【回答】
 どうも, 質問の内容がよく理解できません。「正しい」とはどういう意味なのでしょうか・・・私の意見は, “正しい結果は神様だけしかご存じない”。私達は, 今できる現実的な方法で検査しているだけで, 自ずと正しい真実とは距離があると考えます。もし質問が, “法律や, 指針に照らして正しいのか否か”という意味でしたら, 法律にある通り, 指針にある通りに行わないと正しくない (法律や指針を遵守したとは言えない), 我流に過ぎないとなります。さらに, もし質問が, “寒天培地への接種量”についてなら, 通常の大きさのシャーレであれば, 検体0.1 mlだと綺麗にすべて寒天培地に吸収されて, 綺麗に菌集落の数を計測できます。しかし0.2 mlだと少しボチャボチャ, 0.5 mlになるとかなりボチャボチャになり, 綺麗な菌集落形成が望めないと思います (寒天培地の乾燥の具合で異なります)。0.5 ml培養する必要があるのなら, 5枚のシャーレ, あるいは5倍の直径のシャーレを使用するだけです。

(琉球大学・山根 誠久)


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