10/03/09, 12
■『カンテン平板混釈法』と『カンテン平板表面塗抹法』の選択
【質問】
 OTC医薬品の製薬会社に勤めております●●と申します。日本薬局方に準じた微生物限度試験を実施しようと検討しております。このサイトを拝見し, 参考にさせていただいております。

 早速質問ですが, 微生物限度試験の試験法について, 日局一般試験法の微生物学的試験法と生薬の微生物限度試験法があり, どちらも,『カンテン平板混釈法』,『カンテン平板表面塗抹法』・・・などが設定されていますが, これはどの方法を用いてもよろしいのでしょうか??? 試料溶液がこういう状態ならばこの方法の方がよいなど, 基準があるのでしょうか??? 原料メーカーさんにお聞きすると, カンテン平板混釈法で実施されているようでしたが, カンテン平板表面塗抹法で3〜5日培養するならば, ひからびないように上から培地を継ぎ足さなくて大丈夫か??? という懸念があるとおっしゃっていました。

 まだ初心者ですので, 基本的な内容かとは思いますが, よろしくお願いいたします。

【回答】
 検体試料として『カンテン平板混釈法』は1 mL,『カンテン平板表面塗抹法』は通常0.1 mLを用いて検査します。この時点で10倍試料量が違います。『カンテン平板混釈法』は滅菌溶解してある寒天培地 (培地温度に注意) を試料と混ぜ合わせるだけですが,『カンテン平板表面塗抹法』は予め作製した平板培地へ試料を接種後, コンラージ棒で培地表面が乾くまで塗り続けなくてはいけません。検出感度や作業性から考えると『カンテン平板混釈法』を推薦しますが, 質問者の検査している製品中の菌叢により『カンテン平板表面塗抹法』の方がよいこともあります。例えば, ブドウ球菌やカビを中心に検査したい場合には『カンテン平板混釈法』より『カンテン平板表面塗抹法』の方を推薦します。以上のことより, 一度両方法で検査して微生物数が同じであったなら,『カンテン平板混釈法』を採用したらいかがでしょうか。

(日水製薬・小高 秀正)


【質問者からのお礼】
 ご回答, ありがとうございます。よく考えると確かに感度の違いはありますね。机上だけでは気がつきませんでした。ご意見を参考に検討してみます。お忙しいところ, 本当にありがとうございました。


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