09/10/26
■ 顆粒の大腸菌群検査
【質問】
 はじめまして。乳酸菌含有の顆粒, 錠剤のサプリメントを製造している食品会社の品質管理をしている■■と申します。現在, 品質管理は私一人で他に微生物検査に詳しいものがいないもので, アドバイスをよろしくお願いいたします。

現在弊社では, 微生物検査は一般生菌数と大腸菌群を検査項目で検査しております。そこで質問がございます。

(1) 大腸菌群はBGLB法で試験しているのですが, デソ寒天培地を用いた混釈平板培養法で検査するのはだめでしょうか??? 「食品衛生検査指針」のやり方を採用しているみたいなのですが, 弊社のようなこのような食品にはBGLB法の方が適しているのでしょうか??? 

(2) 検体に生理食塩水を加え10倍希釈した後, ホモジナイザーで2000 rpm, 5分間行って乳剤にしておりますが, 性質上, 処理後すごく泡だってしまい, 困っています。ストマッカーを用いるのは, こういう粉状のものには適していないのでしょうか???

(3) 現在, BGLB液体培地をまとめて1ケ月分程作りだめしているのですが, 試験管に分注して発酵管入りでアルミキャップをして滅菌冷却後, 常温で使用するまで保管していますが, 常温保管でも大丈夫でしょうか??? 冷蔵保管に変更したほうがいいでしょうか??? 

(4) 検査項目で, (この種の製品で) 一般生菌数と大腸菌群以外に他に検査したほうがいい項目がありましたら教えてください。よろしくお願い致します。

【回答】
(1) デソ寒天培地を用いた混釈平板培養法で検査しても大丈夫だと思いますが, 顆粒や錠剤ですと, 10倍希釈を混釈培養した場合, 残渣に色素 (ニュートラルレッド) が吸着して大腸菌群の集落と見間違う恐れがあると推定します。BGLB法ではガス産生の有無で判断しますから, 判定は容易ではないかと思います。

(2) ストマッカーは, 硬い材質の検体では破壊するのは難しですが, ブレンダーですとストマッカーより細かく検体を破壊して検体の均質性がよいと考えられます。泡は滅菌した消泡剤を添加すれば取り除くことが可能です。

(3) 1か月間, BGLB培地を常温で放置しても使えると思いますが, 夏場などは水分が蒸発して, 培地濃度が濃くなる可能性があります。また, 雑菌汚染の原因にもつながります。そのような培地で検査結果が陽性になった場合, 検体由来の大腸菌群によるものか, 雑菌によるものか判断できないため, 再度新しくBGLB培地を作り直し, 再試験ということになります。

(4) 食品衛生法の乳等省令の乳酸菌飲料の項目を参考にしますと, 製品が成分規格 (社内規格) に適合するか否かを判断するために乳酸菌数の測定をすることになっていますから, もし余力があるようでしたら, BCP加プレートカウント寒天培地で乳酸菌数を測定する項目を設けたらいかがでしょうか。

(日水製薬・小高 秀正)


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