08/05/16
■ “頸部リンパ節結核”について
【質問】
 はじめまして。いつも勉強させていただいております。基本的な質問で申し訳ありません。

・結核性頸部リンパ節炎 (自壊している) は周囲への感染源になるのでしょうか???
・治療を開始するには, やはり結核菌の証明が必要なのでしょうか???

 自壊した頸部リンパ節炎ですが, 病理にて乾酪壊死, 類上皮細胞, ラ型巨細胞を認めるもチール・ニールゼン抗酸菌染色は陰性, 培養も陰性, ツ反陰性, QFT(クォンティフェロン)は陽性でした。結核を疑うのですが・・・このような場合, どのような対応をされますでしょうか。

 どうぞよろしくお願いいたします。

【回答】
 一般的に肺外結核は感染源にはならないとされ, 隔離の対象にもなりません。しかし, 結核のまれな感染経路として結核性膿瘍の処置や剖検なども報告されているようですので, 自壊したリンパ節については覆っておき, 通常の接触感染予防策は必要でしょう。また, 頚部リンパ節結核の一部では肺に活動性結核を合併する場合がありますので, 注意深い画像診断が必要です。

 頚部リンパ節結核でも, 抗酸菌染色「陰性」, 培養「陰性」の場合はありますので, 乾酪壊死, 類上皮細胞, ランゲルハンス型巨細胞を認め, 病理学的には“結核”を強く示唆する, かつQFTが「陽性」であれば, 頚部リンパ節結核として治療を開始するのが普通だと思います。そのような場合, PCR検査が役に立つ場合もあります。

(虎の門病院・米山 彰子)


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