07/02/14
■ 献血でのB型肝炎ウイルス検査
【質問】
 先日, 母 (61才) が献血をしたのですが, 後日, 赤十字血液センターからB型肝炎ウイルス検査の結果が送られてきたそうです。結果は以下のようなものでした:

HBc抗体検査 (EIA法)・・・陽性
HBs抗体検査 (EIA法)・・・陰性 0.50 mIU/mL
B型肝炎ウイルス核酸増幅検査 (PCR法)・・・陰性

 この結果はどのような意味なのですか??? B型肝炎ウイルスに感染しているということなのですか??? いつも元気な母だけに, この結果を見て少しショックを受けているようなので詳しく教えてください。

【回答】
 日本赤十字血液センターの輸血用血液はHBV (B型肝炎ウイルス), HCV (C型肝炎ウイルス), HIV (エイズウイルス) など, 輸血により感染する感染症の検査を行っています。HBVの検査としてHBs抗原, HBc抗体, HBs抗体, HBV-DNA (PCR法: HBV遺伝子の検査) の測定をしています。HBs抗原やHBV-DNAが陽性の場合は, 現在HBVに感染しています。HBc抗体が陽性の場合は, 現在HBVに感染している場合と既往 (過去に感染したが現在治っている) の場合があります。HBs抗体が陽性の場合は感染の既往 (ワクチン接種も含む) です。

 お母さんの場合, HBc抗体のみが陽性で, HBV-DNAは陰性 (HBs抗原も陰性であることを意味します) ですから, この場合は過去の感染の既往です。かなり以前に感染した場合はHBc抗体のみ陽性で, HBs抗体は陰性の場合が多々あります。また, HBVに感染しても70〜80%のヒトは自覚症状がなく (無症候), 一過性の感染で治癒します。現在は特に心配はいらないということです。

(アボットジャパン・中島 俊彦)


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