07/08/30
■ 血液培養で部位を変えて採血する意味
【質問】
 血液培養検査についてよく分からないのですが・・・なぜ, 部位を変えて採血しなければならないのでしょうか。基本的な質問ですみません。

【回答】
 血液を入れた培養ボトルを培養して, 細菌が発育し, 「陽性」と判定された場合, それが本当に細菌感染症による「陽性」なのか、採血の際に皮膚から細菌を混入させてしまって「(偽) 陽性」となったのかを区別する目的で採血部位を変えて採血します。

 採血の際に細菌 (皮膚常在菌) を混入させることは極めて頻繁に起こります。熟練した採血者で3〜5%の頻度と言われていますから, 100回採血すると3〜5回は偽陽性が発生します。“血液培養陽性, 即感染”と即断してはいけない理由がここにあります。1回目の採血による皮膚穿刺で細菌を血管内に押し入れてしまった場合, 血流中の細菌はほとんど瞬時に貪食されて消えてしまいます。そこで別の部位に変えて再び穿刺して採血します。1回目の採血と2回目の採血, いずれも培養陽性となり, まったく同じ種類の細菌が分離されれば, その細菌は本当に血液の中にいた (い続けた) という可能性が高くなります。

(琉球大学・山根 誠久)

戻る