09/07/08, 22
■ 血液培養でのグラム染色
【質問】
 当院はDPCでない通常の保険診療をしている小規模病院 (68床) ですが, 感染性心内膜炎および敗血症疑いの患者に血液培養を施行し, グラム染色を実施したところ, グラム染色が査定され, 初めて減点されました。

 これまでも重要と考え, 提出していたのですが, 事務方からいわゆる「青本」には,「血液培養時の細菌顕微鏡検査は原則算定できない」「マラリア, アメーバ赤痢等の疾患で必要不可欠な場合は別途算定」となっているところを示され驚きました。これまでも血液培養でグラム染色陽性検体では速やかに治療を適正化していたつもりです。感染性心内膜炎疑いでグラム染色が血液培養検体でできないなんて信じられず, 再審請求を行う予定ですが, どうして保険診療でそのようになっているのでしょうか。それとも血液培養検体でグラム染色を行うこと自体間違っているのでしょうか。よろしくお願いいたします。

【回答】
 質問の内容について今一度, 診療報酬早見表 (2008年版) を確認しましたところ,「原則として血液培養の際の検体での細菌顕微鏡検査は認められない。マラリア、アメーバ赤痢等顕微鏡検査による形態学的診断が極めて重要な役割を演じる疾患であって、当該疾患を疑う医学的必要性が認められる場合は、血中微生物検査により算定する」とありました。「どうして保険診療でそのようになっているのか??? それとも血液培養検体でグラム染色を行うこと自体間違っているのか???」の疑問はもっともなことですし, 陽性となった血液培養からの菌の存在を知ることにおいてグラム染色は迅速診断法としてとても重要です。

 回答者の施設では保険請求はしていません。考えられることは, 他の検体では, 提出時に直ちに検体を塗抹してグラム染色を行いますが, 血液培養検査においては, 培養陽性が疑われる時や1週間後 (培養を完了した時) に行うので, “培養操作の一部”を構成するとの解釈ではないかと思われます。

(愛媛大学・村瀬 光春)


【質問者からのお礼】
 このたびはご回答をありがとうございました。だめもとで一応再審請求でがんばってみますが, 迅速検査としての塗沫鏡検自体は間違っていないことがわかり, 少し安心しました。これまで査定されなかったのでわかりませんでしたが, 今後は十分に注意したいと思います。重ねてありがとうございました。


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