■ 血液培養における“緑色レンサ球菌”の菌種同定の意義 | |
【質問】
検査センターに勤務している臨床検査技師の■■と申します。 血液培養検査における心内膜炎の起炎菌として, “緑色レンサ球菌”は大きな割合を占めています。しかし, 緑色レンサ球菌といってもS. salivarius, S. sanguis, S. mutans, “ミレリ”グループなど様々な菌種があります。呼吸器感染としては, “ミレリ”グループなどは重要となってきますが, 血液培養結果として緑色レンサ球菌の細かい菌種報告は医師側としてどのくらい役に立っているのでしょうか??? 緑色レンサ球菌の菌種によっては, 心内膜炎を強く疑うことが出来ると聞いたことがあります。本当でしょうか??? 現在は, 菌種別の報告を行っておりますが, 判断の難しい菌種については「緑色レンサ球菌」という報告をしています。経験は検査センターのみのため, 臨床現場との距離を少なからず感じてしまいます。より良い結果報告ができるよう, “生の声”が聞きたく質問させていただきました。よろしくお願いいたします。 【回答】
group, mutans group, salivarius groupなどに分けられます。このうちanginosus group (従来milleri groupと呼ばれていた) は膿瘍形成の傾向が強く, 心筋内膿瘍や他の部位に播種性の膿瘍形成を伴うことがしばしばあります。そのため通常の緑色連鎖球菌よりやや長めの治療が推奨されています。ですからanginosus groupはそのように同定することが臨床的に役立ちます。他のgroupは臨床的に際立った特徴はないと認識されているようです。 細菌性心内膜炎の治療は, 自然弁か人工弁か, そして起炎菌とその薬剤感受性によって, 抗菌薬の選択と治療期間が決まります。特にペニシリンGのMIC値は治療薬の選択にあたって重要です。最近はペニシリンやセフトリアキソンに耐性を示す緑色連鎖球菌が問題になっています。判断の難しい菌種の細かい同定よりは, 薬剤感受性検査の重要性が高いといえるでしょう。 (虎の門病院・米山 彰子)
|