08/07/09, 10
■きのこ類食品の一般生菌数
【質問】
 食品会社で品質管理をしている者です。“えのき”などの“きのこ類の製品”で, 製品の一般生菌数のカウントの仕方をお聞きしたくメール致しました。

 原液を寒天培地で, 37度で48時間培養したものを確認すると, シャーレの一面に白いもやもや状のものが確認されます。こちらは, 一般生菌数をカウントする場合は「カウント不可」とし, 希釈したものをカウントして算出しております。しかし別の検査機関では, このシャーレを「1」とカウントするとお聞きしました。きのこ類と細菌類では, 一般生菌数のカウントの仕方が違うのでしょうか??? 自分では胞子状のものが一面にあり, どうしても「1」と数える理由がわかりません。写真を添付いたしましたので, 判断して頂けませんでしょうか。宜しく御願いいたします。

【回答】
 写真を拝見しました。大きく広がっているのはBacillus属の細菌だと思います。さらに, そのコロニーに覆われていない寒天培地部分をよく観察してみると, 寒天中にコロニーらしいものが2_3個見られます。食品衛生検査指針 (2004年) によりますと,「拡散集落の部分が平板の1/2以上となり, 集落数が測定できない場合は実験室内事故とする」と記載されています。その記載箇所には「なお, アルコール綿などにより寒天平板上を丁寧にぬぐって拡散集落を除去し, 発生集落数を計測することにより細菌数を推定できる」とあります。Bacillus属の細菌は, 土壌や埃など環境中に多数存在しているため, キノコなどの製品を細菌検査すればしばしば検出されます。日常の検査で, この様な状況で困る場合には, 正式なやり方ではありませんが, 標準寒天培地で混釈し, 一回寒天を固めた後, その上からさらに標準寒天培地で重層すれば, 大きく広がるコロニーを抑制できます。

(日水製薬・小高 秀正)


【質問者からのお礼】
 ご返信ありがとうございました。大変御多忙の中にも御教授を頂きありがとうございました。今後の検査の充実に努めて参ります。やはり乾物のきくらげ, きのこ類に検出されております。ご教授頂いた培地の重層を試してみます。ありがとうございました。


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