10/02/22, 23, 03/10
■ 菌集落の写真撮影
【質問】
 お世話になります。寒天培地上のコロニーを写真撮影したいのですが, シャーレの蓋に照明やカメラが写り込み, うまく撮影出来ません。シャーレの蓋をしたままで, うまく撮影するコツがあればご教授下さい。写真撮影後に検査に回すので, シャーレの蓋を取らないことが前提です。よろしくお願いします。

【回答】
 大変難しい問題です。理科の実験などでガラス板の下に黒い紙を敷くと鏡になるというような実験をした覚えがありますが, 真っ黒とまではいかなくても背景が暗いほど写りこみは強くなります。つまり蓋をした状態のシャーレはそのような状態であると考えられます。培地の角度を変えることで写りこむ場所が変化しますので, 撮りたい部分に映り込みがかぶらないように撮影して, 後で写りこんだ部分をトリミングで取り除くという手段もあるかと思いますが, シャーレ全体に写り込みがないようにすることは極めて困難だと思います。レンズフードのように厚紙か何かで照明をさえぎると少しは軽減されますが, 暗くなると画質も低下します。経験されていると思いますが, フラッシュを使用するとハレーションがひどくなりますので使わない方が良いと思います。またオートフォーカスの時に注意しなければならないのは, ピントが中の集落にではなくシャーレの蓋にあってしまうことがありますので, マニュアル操作やフォーカスロックなどを利用してピントを合わせる必要があります。

 蓋をしたままでは綺麗に撮ることは難しいので, 回答者の施設では安全キャビネットの中でシャーレの蓋を外して撮影しています。もし安全キャビネットやクリーンベンチなどがあれば, その中で撮影することを勧めます。撮影されている状況が良く分かりませんが, 専用の撮影室などを使用されているのでしょうか??? 安全キャビネット内は比較的明るく安全だと思います。

 安全キャビネットなどがない場合には, 落下菌の影響を極力防ぐために, 蓋を開けたシャーレをできるだけ立てた状態で倒れないように固定し, 速やかに撮影するという手段もあります。シャーレを立てることで天井の蛍光灯などの写りこみも少なくなります。安全キャビネット内で際影する際にも培地を立てて行っています。汚染や業務感染の危険性がなくはありませんが, 安全キャビネットなどがない施設での培地観察はそのようにして行うことが多いと思いますので, 解像度の高い画像が撮りたければ, 蓋を開けた状態が良いと思います。もちろん病原性が強く, 感染リスクが高い菌が予想される場合には蓋は開けないほうが良いと思います。

(公立玉名中央病院・永田 邦昭)


【読者からの意見】
 今回のJARMAMの質問について, 経験のない私ですが, カメラに「偏光フィルター」を装着すれば問題なく解決すると思います。ただ, 取り付けられる規格は一眼レフに限ると思いますが, 工夫次第では, 普通のカメラにも取り付け可能と思います。偏光フィルターの効果と原理についてネットを調べましたので参照下さい。
・偏光フィルターの効果いろいろ
http://www.asahi-net.or.jp/~GG9M-KNST/digicame/c1400l/pl/index2.html
http://www.aichi-kyosai.or.jp/service/culture/internet/hobby/camera/camera_1/post_622.html
http://www.olympus.co.jp/jp/imsg/webmanual/column/lens_filter01/index.html
http://www.mrfujii.jp/tips/5degicame/4polariz.htm
・偏光フィルターの原理
http://home01.isao.net/hiromaro/pl.html
 

【質問者からのお礼】
 お忙しい中, ご回答ありがとうございました。お陰様で, シャーレを立てて撮影したところ十分な写真を得ることが出来ました。このような方法は全く思いつきませんでしたので, 質問させていただいて良かったです。今後も分からないことが出たときには, よろしくお願いします。


戻る