07/06/19
■ “Kluyvera”の毒性
【質問】
 ●●の農業団体に勤務する者です。担当業務として, お米 (玄米) の集荷・販売に携わっております。最近, 取引先から“お米が薄茶色に変色している”というクレームを受けました。変色の程度が薄いことがあだとなり, 玄米をこちらから出荷する際には気づかなかったわけですが, 受入先で, 玄米を精米して初めて, 変色が発覚した経過にあります。これまでもまれに起こっていた事故でありますが, 今回の件については, 販売先の中に設置されている分析セクションが変色米を分析したところ「グラム陰性桿菌」「Kluyvera」の菌が検出されたとの具体的な指摘を受けました。私の方で, インターネット検索をした中では, この菌が腸内細菌科に属すること, その大部分は非病原性だが, 一部, サルモネラ・大腸菌などの病原性をもつものもあるとのことですが, 具体的に, 今回の「クライベラ属」についての情報を得ることは出来ていません。

 長くなりましたが, 質問内容は, この腸内細菌科に属する「Kluyvera」について, “毒性が無い”ことの確認です。ご回答を宜しくお願いします。

【回答】
 細菌の“毒性”という言葉に戸惑っています (先日のNHKニュースでも, 毒性の強いトリ型インフルエンザウイルスと言っていましたが, インフルエンザウイルスには毒はありません)。Kluyveraに“毒素 (toxin) は無いか”と質問されますと, “すべてのグラム陰性桿菌はリポ多糖であるendotoxin (内毒素) をもつ”としか回答しようがありません。“Kluyveraはヒトへの病原性は無いか”と質問されますと, “極めて稀に”, 下痢, 尿路感染, 腹膜炎, 胆嚢炎の原因となることもあると報告されていますが, 通常の生活では無視できる程度のものです。

 ちなみに, Kluyveraのもつ様々な酵素活性は羊の乳から作られるペコリーノ・チーズで盛んに研究されているようです。

(琉球大学・山根 誠久)


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