■ 固形培地での抗酸菌分離 | |
【質問】
いつも微生物検査に関するこの「質問箱」を見させていただき, 勉強させて頂いております。早速ですが・・・ 現在, スプータザイムをNALC-NaOH法に併用して喀痰前処理をし, MGIT培地と工藤PD培地を医師が選択し, 培養しています。工藤PD培地は1〜8週まで毎週観察し, 1〜2週で雑菌などで培地が崩れたものや, 培地の色が黄色や濃い緑に変わってきたものは, 前処理後の検体をもう一度NALC-NaOH法にて処理し, 再度, 工藤PD培地に培養しています。 (1) 培地が崩れてきたものを, 血液寒天培地などで培養すると, 大腸菌や緑膿菌などが発育してきました。上記の様に再度前処理をすると, 何件かは再び培地が崩れてしまうことがあります。こういう場合はどうしたらよいのでしょうか??? (2) 培地の色が黄色や濃い緑に変わってきたものを, 血液寒天培地などで培養しても, 何も生えてこないのですが, これは何の影響なのでしょうか??? そのまま放置しても, 抗酸菌がいれば発育してくるのでしょうか??? この場合, 再度前処理をすると培地の変色はなくなります。 以上の質問についてご教示ください。よろしくお願い致します。 【回答】
(1) NALC処理後に, ビットゾル (極東製薬工業) を使用する方法があります。ビットゾルにはグルコン酸クロルヘキシジンが入っていますので, これを使用することにより, 私の施設ではグラム陰性菌のコンタミネーションの頻度が減少しました。 (2) 培地から直接グラム染色して, 菌の存在を確認されたでしょうか??? 菌を認めないようであれば, 培地の変色は, 処理した検査材料のpHによることが考えられます。 (愛媛大学・宮本 仁志)
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