07/10/12
■ 混釈法と平板塗抹法の違い
【質問】
 食品の微生物検査を行っています。検査項目は, 一般生菌, 大腸菌群, 耐酸性菌, カビ/酵母です。同じ部署で1年半程働いていますが, 試料10 gにリン酸緩衝液90 g (レトルトは, 試料30 gにリン酸緩衝液270 g) を加え, “混釈法”で培養しています。今まで何の疑いもなくこの方法で行ってきましたが, 他部署では“平板塗抹法”で行っているようです。

 混釈法と平板塗抹法とでは何が異なるのでしょうか??? また, 混釈法と平板塗抹法では, 培地の調整方法・培養温度・培養期間などは変わりますか??? よろしくお願い致します。

【回答】
 一般細菌や大腸菌群の菌数測定は混釈法が基本です。混釈法は, 培地を保温して試料と混釈するため, 試料中の微生物が熱の影響を受ける可能性がありますが, 平板塗抹法ではそのような影響を受けません。また混釈培養法の結果判定では, コロニーが培地中にあるため, その形状を見分けにくいですが, 平板塗抹法ではコロニーはすべて培地上には形成されますので, コロニー形状をより詳細に観察出来ます。しかし, 平板塗抹法は必然的に接種量が少ないため, 試料中の菌数が少ない時には, 混釈培養法の方が微生物の検出には有効です。培地調製方法でのポイントは, 混釈法は混釈する培地温度が非常に重要で, 平板塗抹法は培地作製後の培地表面の乾燥が重要です。培養温度と培養期間は, 混釈培養法と平板塗抹法による違いはありません。

(日水製薬・小高 秀正) 


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