09/04/02
■ 枯草菌の検査方法
【質問】
 初めて質問させていただきます。検査センターにて細菌検査を担当しております。

 検水より枯草菌の定性・定量をしたいを思っているのですが, インターネットや文献を調べても詳しい方法をなかなか見つけることができずに困っております。培養方法として以下の方法で間違っているのかどうか, ご教授のほど宜しくお願い致します。

(1) 検水を滅菌済み容器に入れ, 75℃±1℃で20分間加熱後, 直ちに氷水にて冷やす。

(2) 冷やしたサンプルを混釈法 (標準寒天培地・2重層) にて36℃±1℃で48時間培養する。

この方法では, 加熱することによって芽胞を形成していない枯草菌まで死滅してしまうと思うのですが, そこまでは考えなくても大丈夫なのでしょうか??? また, もし (水などの溶液から) 枯草菌 (を定性、定量する) 検査方法として確立されたものがあるのでしたら, 記載されている文献など教えて頂けないでしょうか。宜しくお願い致します。

【回答】
 環境サンプルからの枯草菌 (Bacillus subtilis) の確立された定性・定量方法はないと思います。質問中の培養方法は, 好気性芽胞形成菌検査の方法であり (定量ではない, 選択性もない), 加熱により栄養型細胞 (芽胞未形成のBacillus subtilisを含む) が死滅してしまいます。質問者が枯草菌を定性・定量する目的が不明ですが, 検水中のBacillus subtilisの存在および量を調べるのであれば, 一般細菌の菌数測定の方法を用いて行う方法がよいと考えます。生育して来たコロニーの細胞形態の観察により, 芽胞形成の有無を確認し, 芽胞を形成するものをとりあえず目的菌として計数します。その後, “同定試験”により計数したコロニーがBacillus subtilisかどうかを確認します。生理性状として, 50℃で生育するのはBacillus subtilisの特徴の一つで, ここ (同定試験) では利用できると考えます。菌数測定の際に, 培養温度を45_50℃に設定すれば, 多くの目的以外の菌の生育を抑えることもできます。

(テクノスルガ・ラボ 立里 臨)


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