■ 抗酸菌染色での蛍光染色法とチール・ネールゼン法 | |
【質問】
●●●医師会検査センターの■■と申します。抗酸菌塗抹の判定についてお尋ねいたします。 検体を均等集菌後, 塗抹標本を作製して鏡検していますが, 蛍光で30視野に1〜2個 (±), チールで菌を認めないことがあります。「新結核菌検査指針 2000」によると, いずれの方法でも検出感度に差はないと記載されていますが, 蛍光で菌が見えた場合, チールでも (必ず) 見えると考えてよいのでしょうか??? また, 上記の場合 (蛍光のみで菌を認める時), 結果報告は (±) G1 (ガフキー1号) 相当でよろしいでしょうか??? 経験上, チールより蛍光の方が感度が良いような気がします。 また, チールで1個でも見えれば, 自信を持って「陽性」と報告出来ますが, 蛍光で1個だと判断に悩んでしまいます。ご教示, お願い致します。 【回答】
(1) チール・ネルゼン法より蛍光が感度良いと思う。
(2) 蛍光の30視野で1_2個の場合チール・ネルゼン法でも必ず観察されるか。
(3) 蛍光染色のみ1_2個の場合の報告。
(4) 蛍光染色で1個の場合は迷う。
(琉球大学・仲宗根 勇)
【追加質問】
ご回答ありがとうございます。しかし, やはり“検出感度に差がない”と「新結核菌検査指針2000」3頁: 検体の塗抹検査に記載がありますが・・・ ご回答(2)の方法なのですが, 蛍光観察の後, 同じスライドをチール染色して観察でよろしいでしょうか??? (蛍光観察スライドを, 石炭酸フクシンで加温染色でよろしいですか???) 再度, ご教授願います。 【回答】
蛍光染色済みのスライドグラスを, さらに石炭酸フクシンで加温染色できますかという質問ですが, 可能です。それぞれの染色に用いる色素の結合部位が異なるためです。抗酸菌の蛍光染色ではAuraminが汎用されています。この蛍光色素は菌のDNAおよびRNAを特徴的に染めます。一方, チールネルゼン染色に用いる石炭酸フクシンは, 常温ではヒドロゾルの状態であり, 加温して冷えるとゲル状になる性質があります。この性質から, 加温染色すると石炭酸フクシンは菌の細胞壁を通過して菌体内に入り, 冷えると菌体内に固着しますす。この原理から, 加温は1回より2回, または3回行ったほうが明瞭な染色像が得られ, 色素は菌体内に定着するため, 脱色にも耐えることになります。 (琉球大学・仲宗根 勇)
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