08/12/16
■ 抗酸菌の薬剤感受性検査法
【質問】
 抗酸菌の薬剤感受性検査法について質問いたします。結核病棟のない3次救急病院に勤務しております。排菌のない結核患者の診療をしており, 薬剤感受性検査の依頼は月に数件です。近く検査実施システムの更新を予定しており, 薬剤感受性検査法を変更する機会ということになります。現在, 当院ではビットスペクトルを使用しています。夏に, 日臨技の感染制御部門研修会を受講いたしました際, 各種検査法が紹介されましたが, 当院で実施するとすればどれが適するのかがわかりませんでした。迅速なMIC法などに変更するほうがよいのか, ご教示お願いいたします。また, 非結核性抗酸菌にビットスペクトルの依頼をする医師に対してどう説明するといいのかも併せてご教示いただけると幸いです。

【回答】
 開発者としては, 結核菌にはブロスミックMTB, 非結核性抗酸菌にはブロスミックNTMと即答したいところですが, 質問者の施設での薬剤感受性検査の依頼は月に数件という点を考慮して論理的に回答してみたいと思います。

(1) 検査試薬の梱包サイズと有効期限
 検査依頼が少ない施設で最も問題になる点が検査試薬の梱包 (1梱包キットに何件分の試薬がまとめられているか) と有効期限の長さです。すなわち, 購入したキットの有効期限内にすべての試薬を使い切ってしまう検査依頼件数が必要だということです。より小さな梱包単位で, より長い有効期限が求められる所以です。

(2) 国際標準法に近付ける
 一般細菌の薬剤感受性試験では聖書 (バイブル) とされるClinical and Laboratory Standards Institute (CLIS) ですが, 何故か抗酸菌の薬剤感受性試験では無視されがちです (多くは自己都合が原因)。CLISには, “卵培地は抗酸菌の薬剤感受性試験に不適切である”と明確に記載されています。CLISの勧告に, Associate Active Memberの一員として同意した琉球大学は, これを文字通り遵守する道義的, 倫理的責任があると考えています。

 次に考える点は, それぞれの方法のもつ欠点です。長所は余り考える必要はありません ・・・自動化機器の検査 (高価な専用機器を必要とする), ブロスミック法 (開放培養系である), 卵培地法 (CLIS標準法では勧められていない), 等々。

 最終的に, これでなければいけないというものではありません。いずれも厚生労働省がちゃんと認可した製品ですから。自らの力点 (重き) の起き方で決定するべきものです。

(琉球大学・山根 誠久)


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