09/04/29, 06/01
■ LAMP法での大腸菌O-157検査
【質問】
 お世話になっております。

 遺伝子分析LAMP法について質問があります。LAMP法で食品中の腸管出血性O-157を検査していますが, ポジティブ (陽性対照) のピークに達する時間に個人差が見られます。一般的にどのような原因が考えられますでしょうか??? 

 試薬は期日中の物を使用しており, 機械の故障ではないようです。ネガティブ (陰性対照) や検体には陽性反応は今のところみられていません。お返事よろしくお願いします。

【回答】
 どの程度の時間差があるかにもよりますが, 主には試薬調製時の手技の差 (ピペットの採取量や混ぜ方の差) によるものであると考えられます。例えば, マスターミックスの作成時では:

・BST DNA Polymeraseをピペットで取る際に適正に取れていない (採取不足もしくは採取過多) →多いと反応が早く, 逆に少ないと反応が遅くなります。

・BST DNA Polymeraseを加えた後の混ぜ方が足りない (BST DNA Polymeraseは粘性が高く, チューブの底に沈むため, タッピング等でよく混ぜる必要があります) →混ざっていない状態で反応チューブに分注すると, チューブ間の反応に大きな差を生じます。BST DNA Polymeraseは1テストあたり1μLと微量であり, また反応に大きく影響する試薬ですので, この辺りを確認ください。また同様に, コントロールやサンプルを採取する際にも、毎回5μLが正確に取れているかどうかを確認ください。→コントロールの量が少ないと反応が遅くなります。

 なお, サンプル添加後は, 試薬とサンプルをよく混ぜるために, 〔サンプル添加〕→〔反応チューブをスピンダウン〕→〔タッピングで混ぜる〕→〔再度スピンダウン〕といった操作を勧めます (回答者はこの方法で混ぜています)。

 ピペットの正確度に問題があることも考えられますので確認ください。例えば:
・チップがしっかりとはまっておらず, 毎回同じ量が採取できていない。
・ピペットの調子がおかしい (校正が必要)。

 どうしても改善できない場合は, 製造元でデモンストレーションによる対応も行っていますので相談ください[e-mail: lamp@eiken.co.jp]。

(栄研化学・竹下 康之)


【質問者からのお礼】
 丁寧な回答, ありがとうございました。その後polymeraseの粘性を念頭において作業しました所, かなりの改善がみられました。ありがとうございました。


戻る