07/09/10
■リステリアの検査手順
【質問】
 食品会社に勤務するものですが, リステリアの検査手順について質問させていただきます。

 “ISO法”で検査を行おうと思っています。一次増菌液をOxford寒天培地およびPALCAM寒天培地に塗末して培養する方法と, 二次増菌液をOxford寒天培地およびPALCAM寒天培地に塗末する方法がありますが, なぜ2回分離培養を行わないといけないのでしょうか。どちらか省略をしてもよいのでしょうか。どうか回答よろしくお願いします。                                    
【回答】
 2回分離培養を行う理由は検出率が上がるためです。Listeria monocytogenesの食品汚染菌数は低いことが知られています。一次増菌後および二次増菌後に塗抹するのは, 一次増菌でL. monocutogenesを増殖させますが, 同時にL. innocuaなどの競合菌も増殖させてしまい, 分離培地上で疑陽性のコロニーをたくさん釣菌して分離同定しなければなりません。そこで、二次増菌を行ってL. monocytogenesの増殖を促進し, 競合細菌よりも菌数を多くして分離を確実にするものと考えられます。しかし, これはあくまでも回答者の考えで, 食品からのL. monocytogenes分離時には, 一次増菌で分離できたが, 二次増菌では雑菌がよけいに増えて分離できないことがあることも推測できます (食品中に存在する菌叢によって違います)。

 公定法 (ISO法など) で行う時, 面倒だとか, 時間がかかるなどの理由で, 勝手に省略したり, 変更した方法で行うことは許されません。もし改変した方法で検査した場合, ○○法で行ったとは言えなくなります。

〔参考文献〕
1. Midelet-Bourdin G, G Leleu and P Malle. J. Food Prot. 70: 891〜900, 2007.
2. Nakamura H, M Hatanaka, K Ochi, M Nagao, J Ogasawara, A Hase, T Kitase, K Haruki and Y Nishikawa. Int. J. Food Microbiol. 94: 32, 2004.
3. Scotter S, LS Langton, B Lombard, S Schulten, N Nagelkerke, PH In’t Veld, P Rolleir and C Lahellec. Int. J. Food Microbiol. 64: 295〜306, 2001.

(日水製薬・小高 秀正)

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