09/06/24, 27
■ M-FC培地での糞便性大腸菌
【質問】
 はじめまして。M-FC培地による糞便性大腸菌の分析をしている者ですが, いくつか質問があります。

(1) 顕微鏡で青いと確認できるものであれば, どんな小さなコロニーも1個と数えてよいのでしょうか???
(2) 同じ (希釈) 倍率で培養した値が1桁, 2桁, 3桁と数にばらつきがある場合でも, (それらの) 平均値を採用してよいのでしょうか???
(3) 培養の方法についてですが, シャーレが動かないように固定しなくても, 水浴ができていればよいのでしょうか???

 初心者なので, おかしなことを聞いているかもしれませんが, 回答よろしくお願いします。

【回答】
 回答者本人はこのM-FC培地を使用したことがありません。そこでベクトン・ディッキンソン社のホームページ[http://www.bd.com/ds/technicalCenter/inserts/difcoBblManual.asp]の説明書を読んで回答します。

(1) 「顕微鏡で青いと確認できるもの」とあるのは, 培地に発色酵素基質を添加しているものと推定します。しかし, 顕微鏡で観察するのは疑問です。通常, 大腸菌は充分な時間培養すれば, フィルター上に肉眼で明確に確認できるほどの大きさのコロニーを形成する筈だからです。

(2) 「同じ (希釈) 倍率で培養した値が1桁, 2桁, 3桁と数にばらつきがある」のは, 希釈操作が間違っているか, 大腸菌以外の何かを数えていることが考えられます。希釈をした場合には, 同一希釈の複数のデータをよく見て, 操作全体の良し悪しを判断してください。
(3) 「シャーレが動かないように固定しなくても, 水浴ができていればよいのでしょうか???」についてですが, ベクトン・ディッキンソン社のマニュアルによれば, 同一試料について2枚のフィルターを作ります。1枚は35±2℃で, もう1枚は44.5±0.2℃で24±2時間培養すると記載されています。また, ウオーターバス (恒温水槽) に沈める時は, “ビニール袋に入れる”と記載されています。このことから, 何らかの“重し”を置いて沈める必要があると考えます。

(日水製薬・小高 秀正)
【質問者からのお礼】
 先日は質問にお答えいただきまして, どうもありがとうございました。ベクトン・ディッキンソン社のホームページも大変参考になりました。

 質問 (1) のコロニーの数え方ですが, 上水試験方法の中で, 糞便性大腸菌群の試験ついて書かれている中の判定の部分に,「培養後, メンブランフィルター又は疎水格子フィルター上に発生した集落を拡大鏡又は実体顕微鏡を用いて観察し, 青色の集落を糞便性大腸菌群とする」とありましたので、顕微鏡を使って数えていました。でも回答に,「肉眼で明確に確認できるほどの大きさのコロニーを形成する筈」とありましたので, 肉眼で確認できるもののみでも数えてみて, 数のばらつきについて確認してみるようにしたいと思います。

質問 (2) については, 今後さらに気をつけて分析, 判定をしていきたいと思います。

質問 (3) については, 今後“重し”を置いて沈めるようにします。

 この度は, 本当にどうもありがとうございました。今後も何かありましたら, 質問させていただくこともあるかと思いますが, よろしくお願いします。


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