09/01/22
■ 大腸菌試験で“マッコンキー液体培地”を用いる目的
【質問】
 はじめまして。化粧品メーカーで品質管理の仕事をしている者です。15局第1追補の微生物限度試験について質問があります。

 製品の大腸菌試験において, 被験製品をSCDブロスで培養, 次にマッコンキー液体培地で培養, さらにマッコンキー寒天培地で培養して集落の発育が認められた場合は「陽性」を疑い, 同定試験により確認するとなっています。初歩的な質問になるのですが, “マッコンキー液体培地”で培養する目的を教えていただけないでしょうか。SCDブロスで培養, そしてマッコンキー寒天培地で培養し同定試験という手順でも結果はそんなに変わらないように思うのですが。

 お忙しいところ申し訳ございませんが, 宜しくお願い致します。

【回答】
 “マッコンキー液体培地”は胆汁酸と乳糖が入っている選択増菌培地です。「DIFCO & BBLマニュアル」によると, ダーラム管をいれて使うことが例として載っています。従って, いわゆる大腸菌群が増殖すると, 乳糖を分解して酸が産生されると紫色の培地が黄色になり, ガスを産生するとダーラム管中にガスが溜まります。非選択培養の後に選択増菌培養をするのは, もし大腸菌が化粧品などに存在したとして, この検体を非選択培地で培養した場合, 共存している微生物が一斉に増殖して, このままでは直接分離培地で培養しても, 他の微生物も繁殖する可能性があり, 大腸菌のコロニーを見落とす可能性が高くなります。しかし, 非選択培養後に選択増菌培養することにより, 競合している微生物を抑制し, 選択増菌培養液中で大腸菌を優位に増殖させ, その培養液を選択分離培地であるマッコンキー培地に画線塗抹することにより大腸菌のコロニーを分離する可能性を高くしています。

(日水製薬・小高 秀正)

【質問者からのお礼】
 ありがとうございます。大変参考になりました。手順書を作成する際の“まよい”が消えました。


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