07/12/15
■ メタロ-β-ラクタマーゼ産生の判定について
【質問】
 メタロ-β-ラクタマーゼ産生緑膿菌が疑われ, SMA栄研ディスクにてCAZとIPMディスクで試験したのですが, CAZでは5 mm以上の阻止円ができ, IPMでは阻止円ができませんでした。この場合の判定はどうなるのですか???

【回答】
 今回, メタロ-β-ラクタマーゼ産生を疑われた緑膿菌につき, CAZとSMAディスクの間に阻止円が形成され, IPMとSMAディスクの間に阻止円が生じなかった現象については, 確実な原因はわかりませんが, 次の三点が考えられます。

(1) メタロ-β-ラクタマーゼの産生量の影響で, IPMとCAZに差がでている。

(2) メタロ-β-ラクタマーゼは多くの遺伝子型が現在見つかっていることから, ある種の酵素で基質特異性が異なり, IPMとCAZとで差が出た。

(3) 緑膿菌でIPMが耐性となる要因として, D2ポーリン欠損による耐性も考えられる。仮にメタロ-β-ラクタマーゼとD2ポーリン欠損が共存していた場合, SMAでメタロ-β-ラクタマーゼが阻害され, CAZとSMAディスクの間に阻止円の形成は見られるが, IPMはD2ポーリン欠損による耐性が発現するため, IPMとSMAディスクの間には阻止円が形成されなかった。

 以上, 原因は特定できませんが, 上記に示したような理由から, CAZ, IPMのどちらか一方でもSMAディスクとの間に阻止円形成が認められた場合, メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌と判断して問題ないと考えます。

(栄研化学・竹下 康之)


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