08/07/15
■MGIT法での腸管組織培養
【質問】
 ●●県で臨床検査技師をしております。■■と申します。いつも「質問箱」では勉強させていただいております。

 先日, 消化器のドクターより「腸結核」の同定について質問を受けましたが, 内視鏡で採取した組織など取り扱ったことがありません。外注先では組織検体についてのMGIT培養は推奨しておらず, 小川培地での対応になるとお答えをいただきました。“消化管粘膜ではMGIT培養は不可能なのでしょうか”。また, 無理やりした場合にどのような不具合が生じるのでしょうか。細菌検査における「腸結核」の診断手順などあれば教えて下さい。

 質問攻めで申し訳ございません。よろしくお願い申しあげます。

【回答】
 MGITは, 臨床検体を使用した評価の結果から, 喀痰, 気管支洗浄液, 胸水, 胃液, 尿由来の抗酸菌検出を目的として体外診断用医薬品の承認を受けています。これは, 上記以外の検体を培養した場合に, 製品の性能に“不具合が生じる”ということではなく, それ以外の検体について承認を得られるだけの充分な陽性検体と陰性検体の数を収集して評価できなかったことに因ります。ですから, 外注先からの「推奨しない」との返答は, 承認外の検体なので“性能を保証できない”ということと推測します。一方, 小川培地では, 長い使用経験の中で培われた様々な検体での実績があるものと考えます。何れにしても結核菌の培養では, 検体の種別によって粘液の消化や雑菌除去の処理が必要になりますが, 適切な前処理を行うことによって, どのような培地でも培養が可能になると考えます。腸結核の診断基準については, 回盲部に輪状潰瘍を認め, 生検で乾酪性肉芽腫や抗酸菌が同定されることとされており, 生検組織の抗酸菌培養も必要とされていますので, 検体処理の原理と目的を考慮し, 適切な培養法を検討してみてはいかがでしょうか。

(日本ベクトン・ディッキンソン・小林 郁夫)


戻る