07/02/27
07/03/05
■ ミネラルウォータの微生物検査
【質問】
 初めまして。会員ではないのですが, 質問をさせて頂いてよろしいでしょうか。私は●●県の◆◆市の保健所試験検査課で微生物の検査を担当している■■と申します。いつも大変参考にさせて頂いています。有難うございます。

 ミネラルウォーターの検査に使用する“アスパラギンブイヨン”について質問させてください。規格基準には「アスパラギン 3 g, リン酸二カリウム 1 g, 硫酸マグネシウム0.5 gを蒸留水1,000 mlに溶解してpHを調整して滅菌する」という調製法が記載されています。その方法で調製すると, おそらくリン酸マグネシウムではないかと思われる“白色の析出物”が出来ます (この物質は酸性にすると溶解しました)。ミネラルウォーターの検査は, 培地の蛍光と混濁で最初の判定を行うため, 私としては培養液が最初から濁っているのもどうかと考えましたので調製法の検討を行いました。その結果, リン酸二カリウムのみを別に調製して滅菌し, その後にふたつの液を混和する方法だと, 透明な培養液を作ることが出来ました。上記のような調製法は, 厳密には規格基準に記載されている方法ではないので, この方法で検査を行ってよいものか否か悩んでおります。あくまでも白色物質が析出した液を使用して検査するべきなのかどうかも含め, ご指導頂けたら幸いです。

 お手数をお掛けしてすみません。どうぞ宜しくお願いいたします。

【回答】
 回答者も, 実際作ってみましたが, “白色の析出物”は認められませんでした。蒸留水と組成を混合した後, 100℃で5分間加温溶解してください。透明な培地が出来ます。その後, 試験管へ分注して121℃, 15分間滅菌してください。質問者の作り方 (リン酸二カリウムのみを別に調製して滅菌し, その後にふたつの液を混和する方法) でも問題ないと考えます。しかしpHの調整が難しいし, 培地作製の手間が煩雑になります。

(日水製薬・小高 秀正)

【追加質問】
 早速の丁寧なメール, ありがとうございました。ミネラルウォーターの培養液の調製法について質問をさせて頂いた◆◆市保健所, 試験検査課の■■と申します。

 早速当方で検討したところ, 加温融解した段階では澄明な溶液になったのですが, やはり高圧滅菌後は白色沈殿物が析出してしまいました。このことについて, 担当者間での協議の折に疑問点が生じましたのでお手数ですが以下の質問にお答え頂ければ嬉しく思います。

 ミネラルウォーターの検査のアスパラギンブイヨンの調製で使用する“硫酸マグネシウム”の試薬は何を使用していらっしゃいますでしょうか??? というのも, 当方では無水硫酸マグネシウムを使用しています。水和物だと, その分子量分グラム数を追加しなくてはいけないのではないかと考えて, 単純に無水物にしたのですが, もしかしたらそこに原因があるのかと思っているのです。私共の質問にわざわざ時間を割いてまで検証をして頂いたのに, さらに質問を重ねてしまってすみません。お手数をお掛けしますが, ご回答頂ければ嬉しいです。宜しくお願いいたします。

【回答】
 硫酸マグネシウムは7水和物を用いました。マグネシウムとカリウムを添加することにより緑膿菌のピオシアニン産生が良くなります。

〔参考文献〕
King EO et al.: Two simple media for the demonstration of pyocyanin and fluorescein. J. Lab. Clin. Med., 44: 301〜307, 1954.
小高秀正ら: 緑膿菌用選択培地の開発. 日本臨床微生物学会誌 10: 6〜17, 2000.

(日水製薬・小高 秀正)

【質問者からのお礼】
 お忙しいところ, 御回答ありがとうございました。教えて頂いた試薬を使用して検討してみます。この検査に関して行き詰っていたところでしたので, 進むべき方向を示して頂いてとても感謝しています。本当にありがとうございました。助かりました。


戻る