07/10/31
■ MPN法と直接平板法の選択
【質問】
 大学で食品衛生学の実験をしているのですが, わからないことがあるのでメールします。

 食中毒細菌数を計数する時に, なぜある種の細菌にはMPN法が用いられて, 別のある種の細菌には直接平板法が用いられるのですか??? よろしくお願いします。

【回答】
 回答する前に, ちょっと疑問があります。本来, 学生であれば, まず指導している先生に疑問に思っていることを率直に伝え, 調べたい旨を伝えれば, なにかのヒントをもらえる筈です。自分で努力せず, 安易に人に尋ねる姿勢はよくありません。

 今回の質問の内容も, 勉強不足が感じられます。この質問の内容ですと, 質問者が食品の細菌検査をどこまで理解しているのか皆目解りません。極々基本的なことですが, “MPN法は検体中に目的とする細菌が少ない時 (低い濃度の時) に用いられます。直接平板塗抹法では, 試料を培地に接種できる量が極少ない (回答者の経験だと0.1_0.4 ml程度) ため, 仮に検体1グラム当たり10 colony forming units (CFUs) 含まれているとすると, 検体の10倍乳剤を調製し, その0.1 mlを培地に塗抹しても菌集落が形成されず, 検出出来ません。しかし, MPN法ですと, 3倍濃度の液体培地5 mlに10倍乳剤の10 mlを接種することが出来ます。MPN法で菌数を求める場合には, MPN表を使います。最後に余計なことですが, 社会人になったら勉強できる時間が激減しますので, 学生のうちに幅広い勉強をして, 自分の頭脳の中に沢山の引き出しを作ってください。

(日水製薬・小高 秀正)


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