09/03/28, 31
■ MRSAでの薬剤感受性試験
【質問】
 感受性 (試験の方法) はK-B法で, グラム陽性球菌の感受性は, AMPC・CMZ・MINO・ABPC/SBT・LVFX・CTRX・MEPMを実施しています。MRSAと同定された時は, すべて判定は「R (耐性)」と表記するように言われたのですが, MINOなどに阻止円ができ「I (中間)・ S (感性)」 の時がありますが, 「R」 にしなければならないのでしょうか。お教え下さい。

【回答】
 MRSAについては, “すべて判定は「R (耐性)」と表記するように言われた”とのことですが, どなたに言われたのでしようか??? どのようなカテゴリー判定の方法を採用するかという決定は, 本来その医療施設が行うものです。例えば, アメリカ合衆国のClinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) を採用するという決定をしたのでしたら, その内容を充分に検証してください。CLSIの勧告には, ブドウ球菌を対象に試験する薬剤についても提示しています。

 質問にあるMRSAでの結果報告ですが, CLSI M100の勧告では, 以下のように記載しています:

 For oxacillin-resistant S. aureus and coagulase-negative staphylococci (MRS), other β-lactam agents, ie, penicillins, β-lactam/β-lactamase inhibitor combinations, cephems, and carbapenems, may appear active in vitro, but are not effective clinically. Results for these drugs should be reported as resistant or should not be reported (オキサシリン耐性の黄色ブドウ球菌とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌については, 〔オキサシリン〕以外のその他のβ-ラクタム剤, すなわちペニシリン剤, β-ラクタム剤とβ-ラクタマーゼ阻害剤との合剤, セフェム剤, カルバペネム剤がin vitroの 〔薬剤感受性試験で〕抗菌活性を示す場合もあろうが, 臨床的には無効である。これらの薬剤の試験結果については耐性として報告すべき, あるいは一切結果を報告しないようにする) 

 このなかには質問にあるMINOは対象になっていません。ただ, 繰り返しますが, それぞれの医療施設で報告方法を決定できるのです。質問者の施設で分離される“MRSAがMINOにほとんど耐性であるのなら”, 避け難い検査のエラーを回避する意味ですべて耐性として報告する方法は理解できますし, 正しい選択だと考えます。

(琉球大学・山根 誠久)


【質問者からのお礼】
 丁寧で分かりやすい回答有難うございました。良くわかり, 納得しました。本当に有難うございました。CLSIを見直して勉強したいと思います。


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