07/09/05
■ ミュラー・ヒントン寒天培地に発育しないBurkholderia cepacia
【質問】
 重症心身障害児者施設の検査技師です。当園では尿培養検査にBDのトリプチケースソイ 5%羊血液寒天培地と栄研のBTB寒天培地を使用していますが, 尿培養検査で血液寒天培地に発育せず, BTB寒天培地に10の6乗の菌が発育しました。アムコのRapID NF Plusにより Burkholderia cepacia と同定されました。薬剤感受性検査は栄研のKBディスクを使っていますが, ミュラーヒントン寒天培地に発育せず困っています。対応をどうしたらよいのか, どうかよろしくお願いいたします。

【回答】
 質問のBurkholderia cepaciaがミュラーヒントン寒天培地に発育しない現象について回答します。

 Burkholderia cepaciaの感受性測定法はCLSI M100−S17 においてミュラーヒントン寒天培地で35±2℃, 20〜24時間好気培養を行うと記載されています。通常Burkholderia cepaciaはミュラーヒントン寒天培地に発育する菌種です。しかし質問のように, この培地に発育できなければ感受性試験はできないことを意味します。もともと, この菌株は羊血液寒天培地に発育できずにBTB寒天培地に発育することから, 特殊な発育支持を必要とする株と考えられます。由来が尿検体であることから, 共存する抗菌薬の持ち込みも考慮し, 純培養した菌株を用いて再試験します。この場合でもミュラーヒントン寒天培地に発育できない場合は, ディスク法では試験ができないと判断し, 微量液体希釈法で再試験します。微量液体希釈法であれば感受性試験の結果が得られる可能性があります。

 以上, いずれの方法でも発育しない場合は, 公的機関に相談し, まず菌株の性状を検討するのがよいのではないかと考えます。

(栄研化学・竹下 康之)


戻る