08/12/11
■“ナグビブリオ”の表記法
【質問】
 いつも拝見させていただいております。ご回答いただけたらと思い, 質問させていただきます。私は地方自治体で微生物検査をしているものです。

 “ナグビブリオ”の表記の方法で悩んでいます。Vibrio chorerae の内, O1およびO139に凝集しないものを“ナグビブリオ”といいますが, 「Vibrio chorerae non-O1, non-O139」と表記せず, 単に「Vibrio chorerae non-O1」と表記しているものが見受けられます。(どちらが正しいのでしょうか)

 基本的な質問ですみませんが, 教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【回答】
 質問者が言われているように基本的な質問ですが, 奥が深いかも知れません。現在はコレラエンテロトキシン (CT) を産生するVibrio cholerae O1 またはO139を“コレラ菌”と呼んでいます。その他150〜200種類 (参考資料の数に幅があります) をナグビブリオ (NAG Vibrio) と総称して呼んでいます。O139の歴史は比較的浅く, 1999年に毒素を産生するO1と同じ扱いになりました。デンカ生研も, それに従い, 数年遅れで“ビブリオコレラ免疫血清O139 Bengal”を発売したと記憶しています。

 さて呼称の是非ですが,“Vibrio cholerae non-O1”と表記しているのはO139がコレラと同じ扱いになる以前の資料か, O139が広く認知される前のものかもしれません。“Vibrio cholerae non-O1  non-O139”はO139が広く認識された後の資料かもしれません。厚生労働省検疫所のホームページには“ナグビブリオ (NAG Vibrio)”と記載されています。またナグビブリオの中にもCTを産生するものが報告されていると記載されていますので, 今後もコレラ菌と指定される菌型が増える可能性もあります。個人的には厚生労働省検疫所の表記に従ってもよいと考えています。さらに詳しくは厚生労働省検疫所ホームページをご参照くださいhttp://www.forth.go.jp/tourist/kansen/01_chol.html]。

(デンカ生研・青木 智)


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