07/04/17
■ 内視鏡の細菌検査
【質問】
 内視鏡スコープの洗浄後の細菌検査について教えてください。私は650床の自治体病院で細菌検査を担当している検査技師です。

 日本消化器内視鏡学会認定ガイドラインの内に, 洗浄後スコープの自己評価として細菌検査が推奨されているとのことから, 洗浄後のスコープの細菌検査をして欲しいとの依頼を受けました。当院の内視鏡検査室では“すべての患者の検査終了後には十分な洗浄・消毒を行わなければならない”というガイドラインの基本に従って感染対策をとってきているが, 現在までそれを客観的に判定したことがないとのことから, 消化管内視鏡洗浄消毒法ガイドラインで推奨している方法で年1回, 一般細菌を目的として培養検査をして欲しいとのことです。消毒液はデスオーパを使用しています。ガイドラインに従って, 感染対策をとっているのであれば, 改めて培養検査を実施することはないと考えるのですが, 説得力に欠けます。エビデンスをご教示願います。もし, 培養検査を実施しなければならないとしたら, 実施間隔はどのようにしたらよいでしょうか。

【回答】
 内視鏡の細菌培養については, 日本消化器内視鏡学会がガイドラインに対してQuality Assuranceを推奨していますので, 以下に記載します。

(1) 施設毎に年1回は無作為に抽出した内視鏡機器, 処理具について, 表面や鉗子チャンネルなどの一般細菌の培養検査を行う。
(2) 抽出するスコープは, 上部, 下部, 十二指腸など, その施設で使用している全機種を対象とする。
(3) スコープチャンネル内は20_30 mlの滅菌生理食塩水を通し, それを直接培養する。
(4) スコープ表面はスタンプ培養する。

 周辺機器 (保管庫内を含む) はそれぞれ最適な方法で培養検査を行う。

 以上が培養検査に関する記載事項です。日本消化器内視鏡技師会安全管理委員会編「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン」第2版には, ガイドラインに則った洗浄・消毒が実施されている場合には, 通常スコープから細菌は検出されないとしております。細菌検査の実施は, 洗浄・消毒担当者がガイドラインを遵守して実施しているか否かの確認の意味を持つ作業になると思います。

(琉球大学・仲宗根 勇)

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