08/02/01
■ “生麺”の微生物検査
【質問】
 私は製麺会社で品質管理を担当しております。現在の仕事は1年目です。以前は, ●●の下請けで品質管理 (細菌検査担当) を3ヶ月担当しておりました (その後, 倒産)。培地を調整し, お弁当の一般生菌, 大腸菌群, 黄色ブドウ球菌, 乳酸菌, 落下菌などの項目試験をしておりましたが, 現在の会社では設備不足のため“シート培地”での検査です。お伺いしたいのは, お惣菜などは試料の10倍希釈を原液として試験をおこないましたが, “生めんの場合は100倍希釈が原液”となっています。これはなぜですか??? 担当の引き継ぎがないまま入社で, 周りに判る人もおらず, 検査メーカー, インターネットなどで検査知識を仕入れている状況です。生めんは「全麺協」に所属するので, 全麺協の食品衛生検査指針では「一般生菌が3,000,000以下」となっています。試験結果も“<3000 (0) ”と表します。「全麺協」へ質問してみたのですが回答がないので, こちらへ質問させていただきました。お願いいたします。

【回答】
「生めん類の衛生規範などについて」(平成3年4月25日 衛食第61号) を見ますと,「検査法が定められていないものは(一般細菌数試験がこれにあたります)食品衛生検査指針等行政機関の関与のもとに設定された試験法及び衛生試験法注解(日本薬学会編)の試験で行うこと」と書かれています。多くの食品は, 食品衛生法にある氷雪の成分規格の細菌数(生菌数)の測定法で検査されています。この中に, 全平板に集落数30以下の場合の算定方法が記載されています。「全平板に集落数30以下の場合: すべての平板に30以下の集落が発生した場合は、その最も希釈倍率の低いものを計測する。この場合はその算定数に「以下」の文字を付けなければならない」仮に, 質問者の場合, 100倍希釈を混釈して1個細菌がでてきた場合, 1 g検体あたり100個細菌が存在していることになります。質問者の会社では, これは一平板当たり30以下の場合ですから, 30×100=3,000で以下の「<」を付けて表記しているものと推察できます。(生めんの衛生規範の「一般生菌が3,000,000以下」に十分収まっています)。また, 10倍ではなく100倍試料を使う理由として, 回答者の経験では, 10倍試料ですと生めんの“残さ”が培地中に持ち込まれ, 細菌のコロニーと生めんの“残さ”の鑑別が非常に難しく, 100倍稀釈にしますと“残さ”の影響を受けることなく細菌数を数えることができました。

(日水製薬・小高 秀正)


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