08/01/17
■ ネブライザーの消毒方法について
【質問】
 初めて質問を致します

 病院の院内感染委員ですが, 感染症の患者さんにネブライザーを使用した場合, (1) ノズル・チューブ等の消耗品の消毒方法, また, (2) ネブライザー本体の消毒方法, (3) 機器の内部まで菌が入ってしまうことはあるのでしょうか???・・・もしある場合は, その対応策についてお教えいただきたくお願い致します。

【回答】
 ネブライザーはそこから発生したエアロゾルが呼吸器粘膜に触れるので, セミクリティカル器具に分類されます。従って, 薬液カップやマウスノズルなどを再使用する場合には, 原則として滅菌または高水準消毒が必要となります。ネブライザーといってもその種類や構造により感染対策上の扱いは大きく異なります。超音波ネブライザーは超音波振動子の振動により薬液をエアロゾル化します。薬液槽と振動子の間に作用槽があって水を入れるタイプでは作用槽の扱いに注意が必要です。一方, コンプレッサー式ネブライザーはコンプレッサーにより圧縮された空気が噴出する時に生じる気流により生じたエアロゾルを気流にのせて吸入するものです。コンプレッサー機器には液体を注入する部分がなく, 汚染が問題にならないので扱いは容易です。私の施設では, ディスポーザブルのネブライザーをコンプレッサー機器に接続して使用していますので, 感染対策上の問題は感じていません。ネブライザーを同じ患者さんが繰り返して使用する場合は, 取り扱い説明書に従い, 洗浄・乾燥して再使用します。超音波ネブライザーは薬液槽, 作用槽, 蛇管など, それぞれの機器の部品とその材質に応じた滅菌, 消毒を行う必要があります。通常, 洗浄する部分を超えて機器の内部まで汚染される心配は一般的にはないと思います。部品のうち可能なものはオートクレーブによる高圧蒸気滅菌やプラズマ滅菌, 熱水消毒 (70℃以上30分あるいは80℃10分などで高水準消毒の代替となる) を行い, その他のものは消毒薬で消毒します。高水準消毒薬であるグルタラールやフタラールは扱いにくいので, 実際には低濃度の次亜塩素酸ナトリウム (0.01%, 1時間) やアルコール系消毒薬による中水準消毒で代用されます。消毒後の“すすぎ”には滅菌水が望ましいのですが, 現実的に難しければ水道水ですすぎ, その後にアルコールでリンスし, 乾燥させます。消毒は使用毎に行うのが理想ですが, 実際は難しいものです。同一患者に継続使用する場合にも, 24時間毎に消毒を行うことが推奨されています。取り外して消毒できない作用槽も24時間毎に排水し, アルコールで清掃後に乾燥させることが勧められます。

(虎の門病院・米山 彰子)


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