07/11/06
■ 日常業務としての「微生物限度試験」
【質問】
 いつもお世話になっています。●●と申します。現在, 薬品の包装材料を取扱っている企業の品質保証を担当しています。現在, 「微生物限度試験」について勉強しており, お尋ねしたいことがあります。宜しくお願い致します。

 微生物限度試験の培地性能試験では, 細菌検査・真菌検査共に幾種かの菌が指定されています。実際, 検査をする度に (つまり毎日), それらすべての菌を用いて培地性能試験をしなければならないのでしょうか??? また同様に, 細菌・真菌ともに検査をしなければならないのでしょうか??? 以前, 食品メーカーで微生物検査を担当してた際には, 真菌検査と培地性能試験は実施せず, ネガティブコントロールを用いる程度でしか検査を行っておりませんでした。その為, 微生物限度試験は大変手間の掛かる検査だと感じています。

 検体に存在する菌に傾向はあると思うのですが, 実際には (同定検査を行わないと) 細菌か真菌かは分からないので, 両方の検査するべきだと思います。同様に培地性能試験に関しても, 存在する菌種が分からない限り, 指定されたすべての菌を用いる必要があるかとも考えますが, 実際問題, それだけの試験を行うと, かなりの手間と時間がかかります。日常業務として考えた場合, どこまで行う必要があり, どの部分が省略できるのか教えてもらえないでしょうか。宜しくお願い致します。

【回答】
 医薬品関係と食品関係の微生物検査は違うことを認識してください。微生物試験手技としては共通部分もあります。薬品の包装材料の品質保証ですから, 日本薬局方で示されている微生物限度試験を実施した上で, 質問者の製品の品質を証明することにより保証でき, 質問者の会社の信頼が得られると考えます。毎日試験を実施しているとのことですが, 培地の調製も毎日適正に行われていることと思います。しかし, 万が一, 培地の調製に不備があり, 貴社の製品の規格基準外になった場合, どうされるのでしょうか。その際, 培地性能試験も併行して実施していれば, 少なくても培地が原因による結果ではないことが判明します。「手間と時間」とは, 供試菌株を準備する手間と培養時間のことを示していると思いますが, 計画さえ効率よく立案すれば, それほど「手間と時間」はかからないと考えます。結果を毎日記録することと, 製造ラインや最終製品のバイオバーデンを検査することを勧めます。

(日水製薬・小高 秀正)

【質問者からのお礼】
 ご返答頂き有難うございました。確かに毎回きちんと実施することにより, 万が一の際に適切な対応がとれ, また問題がなくともきちんと日局に準じて行っているということで, 企業としての信頼性も高まると思います。また反対に, 省略している企業に対しては信頼をおけない印象を持つかもしれませんね。貴重なご意見, 参考にさせて頂きます。有難う御座いました。


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