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【質問】
何かと参考にさせて頂いております。サプリメントの開発製造をおこなっており,
試験で乳酸菌を扱っております。培養をしていてふと思ったのですが, 乳酸菌を液体培地で継代培養している間に“コンタミ”を起こした場合の確認方法はどのようにしたらよいのでしょうか???
通常, 培地はMRSを使っております。
先日, とりあえずペトリフィルムACプレートを使って好気・嫌気条件で培養してみたのですが,
嫌気の方がはるかにコロニーは多いのですが, 好気でも多少コロニーが出てきます。これを乳酸菌と見てしまっていいのか,
やはりこの後, 他の試験をして判別しなければならないのか迷っています。メンテナンスのための培養なので,
できればあまり時間はかけたくありません。
何か簡単に判別できる方法があればご教授いただければと思います。宜しくお願いいたします。
【回答】
乳酸菌は一般にMRS培地に生育します。通性嫌気ですので, 好気条件でも生育しますが,
嫌気の方が生育は良いです。また, (乳酸菌の種にもよりますが) 普通寒天培地で極小さいコロニーを形成することもあります。回答者はペトリフィルムACプレートを用いて乳酸菌を培養したことはありませんので,
この培地上で生育したコロニーが乳酸菌かどうかの判断はできません。しかし,
乳酸菌培養液のコンタミを確認するのはコロニーだけではなく, 他の試験をやらなければならないと考えられます。コンタミの確認には,
ペトリフィルムACプレートを使用するより, 普通寒天培地を使用した方が適切と考えます。コンタミ確認というのは乳酸菌以外のものが存在しているかどうかを確認することですので,
簡単に判別できる方法は乳酸菌の培養液を普通寒天培地に植菌し, 好気培養した後,
形成したコロニーを確認します。極小さい (1 mm以下) コロニーなら乳酸菌の可能性もありますが,
念のためにグラム染色をします。もし24時間以内に良好な生育を示し, コロニーも1
mm以上のものなら, 乳酸菌以外の可能性が極めて高くなります。乳酸菌はグラム陽性
(グラム不定もある) 桿菌 (あるいは球菌) で, 芽胞を形成しません。加えてカタラーゼ試験を行って「陰性」であれば乳酸菌の確定ができます。簡単に言えば,
普通寒天培地での培養, グラム染色, カタラーゼ試験を実施すれば, 乳酸菌と他の細菌の区別ができます。
(テクノスルガ・ラボ 立里 臨)
【質問者からのお礼】
質問に対し, ご回答ありがとうございました。やはり, 簡単に判別する方法はないようですね。今後,
メンテナンスをしていく過程の中で, また保存をするような時にはお教えいただいた方法等でチェックをしてまいりたいと思います。ありがとうございました。また,
質問させていただくこともあるかと思います。今後とも宜しくお願いいたします。
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