|
【質問】
現在, 自社にて細菌検査を実施しております。一般生菌をSPCにて検査をしておりますが,
乳製品【未加熱のチーズ】を培養しました際に, 乳酸菌はSPCの中にコロニーとして出てしまうのでしょうか???
また, 細菌3Mのペトリフィルム (AC) でも乳製品の一般生菌の検査も行っております。この場合は,
ACフィルムに乳酸菌はコロニーとしてでるのでしょうか??? ご回答宜しくお願い致します。
【回答】
標準寒天培地の組成は, 1リットル当たりペプトン5 g, 酵母エキス2.5 g,
ブドウ糖1 gおよび寒天15 g, pH 7.0_7.2です。一方, 食品衛生法に記載されている乳酸菌測定用培地はBCP加プレートカウント寒天培地で,
1リットル当たりペプトン5 g, 酵母エキス2.5 g, ブドウ糖1 g, ツイーン80 1
g, L-システイン0.1 gおよび粉末寒天15 g, BCP 0.004_0.006%の割合で添加,
pH6.8_7.0です。以上のように, 両培地の組成に大差はなく, 乳酸菌が標準寒天培地に増殖する可能性はあると考えられます。しかし,
標準寒天培地のコロニー形態からでは, 乳酸菌とその他の菌の判別はできません。乳酸菌は大きくホモ発酵型
(ブドウ糖から乳酸だけを生成) とヘテロ発酵型 (ブドウ糖から乳酸, アルコール,
酢酸などを生成) に分けることが出来, 多くの菌種が存在し, 培養条件が違う細菌を含んでいます。そのため,
例え一般生菌数用培地に質問者のいう乳酸菌が成育したとしても, 限られた菌種であることが推察できます。ペトリフィルムのACの説明書には,
一部の細菌 (乳酸菌の一部, 球菌の一部) では測定されにくい菌もあることが記載されています。また,
ペトリフィルムACを使って乳酸菌数を測定する時は, 検体希釈液にMRSブロースを使っている文献もありますが,
MRS培地との比較では, 1オーダー低い結果が出ています。質問の「ACフィルムに乳酸菌はコロニーとしてでるか」ということですが,
菌数の違いはあるものの「乳酸菌はコロニーとしてでる」と考えられます。
|戻る|
|