09/10/26, 04
■ 乳糖ブイヨン培地での検査方法
【質問】
 はじめまして。清涼飲料水を製造している●●の品質保証部に所属しております。

 乳糖ブイヨン培地にて, 10 ml, 1 ml, 0.1 mlの3種類の濃度 (培地量 or 試料量???) で検査する理由は何故なのでしょうか。

 また, 例えば1 ml試験で陽性反応があり, 10 ml, 0.1 mlで陰性というようなことが発生する場合はあるのでしょうか。判断基準について教えて頂きたく願います。

【回答】
 この試験法は食品衛生法で決まっている公定法ですが, 質問にある試料濃度については以下の理由があるものと思われます。

 清涼飲料水には果実飲料, コーヒー飲料など多くの種類があり, 含まれる成分もさまざまです。果実飲料などのpHの低いものはそれによって大腸菌群の増殖が抑えられ, また乳糖ブイヨンの色調にも影響を及ぼします。他にも大腸菌群の増殖や乳糖ブイヨンの性能に影響を及ぼす成分が含まれているかもしれません。そこで菌量は減少しますが, 試料に含まれる成分の影響を減らすために試料量を減らして培地に接種するという方法になっているものと思います。10 mlでは菌量が多くても清涼飲料水の成分の影響で増殖できず, 0.1 mlでは菌量が少なすぎて検出されない。1 mlで成分の影響をあまり受けずに, 菌量も検出される程度という場合, 1 mlのみ推定陽性ということが起こりえます。従って, いずれの試料量でも推定陽性となった発酵管があれば確認を行い, どれか1本でも陽性と確認できれば, その試料は陽性であると判定します。逆に, すべての発酵管で陰性の場合に陰性と判定します。

(日本水産・植野 理恵)


【追加質問】
 この度は質問に対しご返答いただきありがとうございます。わかりやすい回答をいただき, 感謝いたします。
ひとつ追加のご質問なのですが, 例えばコーヒー飲料など, 試料を10 ml採取した場合, コーヒー飲料等の色の影響を受けて判定できないなど, 明らかに「判定出来ず」の場合は, 1 mlおよび0.1 mlで判断するといった各社のルールで決めることになる解釈になりますが, それについて何かご意見等がありましたら教えていただきたく願います。

【回答】
「食品衛生法」で決まっている公定法はもっぱら食品衛生監視員が監視指導等の目的に行う“行政検査”で用いられる方法であるため, 食品営業者が自主的衛生管理などの目的に実施する検査方法はかならずしも公定法通りでなくてもかまいません。しかしながら, 検査対象の製品は食品衛生法の規格基準と整合してなくてはいけませんので, そのように自主基準 (食品衛生法の規格基準よりも同等以上に厳しい基準) を設けることが必要です。質問の内容の「明らかに「判定出来ず」の場合は, 1 mlおよび0.1 mlで判断するといった各社のルールで決める」ようになるという解釈ですが, 判定できない場合については食品衛生法では規定されていませんので, 自分たちで“判定できないもの”と決めつけてしまうのは危険であるように思います。

(日本水産・植野 理恵)

戻る