07/10/09
■ 黄色ブドウ球菌用培地の作成方法
【質問】
 はじめまして。お忙しいところ申し訳ございません。私はこの春から品質管理を行う立場になり, 細菌検査など行っております。

 早速ですが, 質問というのは“黄色ブドウ球菌の培地の作成方法”についてです。会社には食塩卵寒天基礎培地, 卵黄エマルジョン50% (無菌) が置いてあります。今までに一般細菌と大腸菌群の培地は作成したことがあるのですが, 黄色ブドウ球菌は経験がなく戸惑っています。

初歩的な質問ですが, 今は私しかおらず, 誰にも聞くことが出来ない状態です。よろしければ培地の作成方法を教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【回答】
 一般細菌と大腸菌群の培地は作成したことがあるとのことですので, 卵黄エマルジョンの添加方法を中心に記載します。

1. 培地の秤量及び滅菌: 一般細菌用培地などでは100 mL分の培地を作製する場合, 100 mL分の粉末培地を秤量し, 100 mLの精製水に添加して滅菌して調製しました。

(1) 食塩卵寒天基礎培地から培地を作製する場合には, 添加する卵黄液量分の精製水をあらかじめ減らして培地調製します。

(2) すなわち50%卵黄液は培地量の5_10%添加しますので, 100 mL分の粉末培地を秤量し, 90 mL (10%添加時) _95 mL (5%添加時) の精製水を加え, 121℃で15分間滅菌します。

2. 卵黄液の添加及び培地の調製:

(1) 滅菌した培地は, 50〜60℃の恒温水槽に入れて保温しておきます。

(2) 5〜10mLの卵黄エマルジョン50% (無菌) を滅菌保温した培地に無菌的に加えます。

(3) その際, 滅菌ピペットなどを用います。また培地及び卵黄エマルジョンの開閉の際には容器の開口部が汚染されないように注意します。

(4)泡が立たないように十分に混合して速やかに, シャーレに18〜20 mL分注して平板培地を作製します。

3. 培地使用時

(1) ブドウ球菌試験用培地は食塩卵寒天培地をはじめ食塩濃度が高いため, 作製した平板培地の表面は乾燥しにくくなっています。使用前には, 一般培地より少し長めに培地表面を乾燥することが必要です。

〔参考資料〕食品衛生検査指針 微生物編 (2004年)

(日水製薬・三品 正俊)


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