07/06/06
■ オキサシリンの判定基準
【質問】
 はじめまして。初めて「質問箱」を利用させていただきます。病院技師として2年になりますが, 今年から実習生の指導担当になりまして, 正しいことを教えたいと思いまして・・・

 オキサシリン(MPIPC) の判定基準範囲, 濃度がS. aureus と CNS で異なるのはなぜですか??? 検査業務に携わりながら, 今更こんなことを質問するのは誠に恥ずかしいのですが, ご教示下さい。よろしくお願いいたします。

【回答】
「判定基準」という言葉をもう一度考えてください。“なにを判定する基準”なのでしょう??? 回答者の理解するところでは, 菌株のもつ遺伝学的に明確な耐性機序 (mecA遺伝子の産生物, PBP 2aをもつ) を, 薬剤感受性試験という表現型 (phenotype) から検出するための判定基準 (個人的には判定区分という表現が好きです) ということです。MIC値や菌発育阻止円の直径は, 菌株と薬剤濃度の組み合わせで決まる表現型です。この表現型と耐性遺伝子の有無を正しく“相関させる目的”で判定基準 (区分) が設定されます。従って, 正しく相関させるために, 菌種によって判定基準 (区分) 値が違ってくることになります。実際の作業では, mecA陽性のstaphylococci (S. aureusとCNS) とmecA陰性のstaphylococciを集め, MIC測定やディスク拡散法での菌発育阻止円直径の数値を集積します。mecA陽性・陰性の各々の群を区分できるMIC値や菌発育阻止円直径がないか否か解析します。偽陽性, 偽陰性の判定の最も少ない区分値を探す作業をする訳です。Staphylococci全体 (S. aureus+CNS) を解析対象にすると, 偽陽性, 偽陰性の発生が無視できないと判断された場合, さらに菌種毎に群別して解析します。その結果S. aureusのみ, CNSのみと区分した時, それぞれの偽陽性, 偽陰性が少ないと判断され, 表現型での判定の区分値を別々に設定することになったのです。

(琉球大学・山根 誠久)

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