08/02/18,20,27
■“ペニシリン耐性肺炎球菌”とMEPM (メロペネム)
【質問】
 ●●市立病院内科・感染症科医師の■■と申します。いつも先生方の回答で勉強させていただいております。

 肺炎球菌が検出され, ペニシリンのMIC≧2.0μg/ml を示し, “ペニシリン耐性肺炎球菌”と判定された場合には, MEPMの感受性は「R (耐性)」と報告することになっているとのこと (CLSIの基準??? 検査技師さんより聞きました) ですが, この理由について教えてください。

 サンフォード・ガイドを見ますと, おそらく肺炎などではPRSPでもMEPMを十分量投与すれば効果があるような文面ですが, 髄膜炎などでは2 gramを8時間毎に投与しても十分な濃度が得られないということなのでしょうか??? もちろんPRSPの場合にはCTRX、IPM/CSのほうがMEPMより効果的であるとは思いますが・・・

 また, このような疑問 (CLSIの基準の根拠) について調べる場合にはどんな情報元 (参考書) にあたると近道であるのか教えていただければと存じます。誠にお手数ですがお願いいたします。

【回答】
 髄液から分離された肺炎球菌については, CLSIもMEPMをCTX, CTRXと共に報告すべき薬剤の候補として挙げおり, ブレイクポイントも示されています。「ペニシリン耐性肺炎球菌についてMEPMの感受性を“R”と報告することになっている」というのは何かの勘違いと思われます。MRSAではカルバペネムを含むβラクタム薬を“R”と報告するようになっています。これについては, in vitroで有効にみえても, 臨床効果は不十分なことが多いからとされています。

 CLSIの基準の根拠となるエビデンスは, 残念ながらCLSIからは明示されていません。

(虎の門病院・米山 彰子)


【質問者からのお礼】
 ご回答ありがとうございました。当院の検査技師に再度確認したところ, KBディスクのMPI で“R”と判定された場合に, MEPMを“R”と読みかえるとのことでした (マニュアル記載)。この理由もよくわかりませんが・・・CLSIとは無関係なのかもしれません。大変申し訳ございませんでした。

【質問者の指摘について】
 「KBディスクのMPI で“R”と判定された場合に, MEPMを“R”と読みかえるとのことでした(マニュアル記載)」について, KBディスク‘栄研’の現在のマニュアルには指摘された内容の記載はありません。肺炎球菌について, マニュアルでは以下の表とコメントを記載しています。

<判定上の注意>
 肺炎球菌のPCに対する感受性試験はMPIディスクでスクリーニングします。MPIディスクで感受性 (阻止円直径≧20 mm) の肺炎球菌はPC, ABP, ACV, ・・・CTX, CTRX, …..IMP, MEPMも感受性と推定されます。MPIディスクで阻止円直径が≦19 mmの場合には, 微量液体希釈法にてPCGのMIC値を測定し, 確認します (CLSI M100-S17を要約)。

 MPIディスクで“R”とする判定基準の記載はなく, この度の【質問者からのお礼】にある「KBディスクのMPIで“R”と判定された場合に, MEPMを“R”と読みかえる」という内容も記載していません。誤解の発生した原因としては, MPIディスクで≦19 mmとなった場合, MICで測定せず自動的に“R”と判定されているのかもしれません。

(栄研化学・竹下 康之)

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