09/07/12
Penicillium sabulosumについて
【質問】
 こんにちは。私は食品会社の品質保証部に勤務する者です。

 最近, 茹で麺などに発生するPenicillium sabulosumというカビの耐熱性など, 基本的な性質について調べているのですが, 図書館で借りた本などには名前は載っていても性質が書いていなかったり, 私の論文の検索の仕方が悪いのか性質に関するものがヒットしません。

 もし, 基礎的な性質などの情報で現在分かっている内容, 参考文献などございましたら教えていただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

【回答】
 Penicillium sabulosumは, オーストラリアにおいて, 低温殺菌したフルーツジュースの腐敗箇所より分離され, 1985年にPitt and HockingによりPenicillium属の新種として記載された種類です。これまで, ベビーフード, レモンティー, 果汁, ゆで麺, ゆでスパゲティなどの様々な食品から検出されています。しかし, 耐熱性 (耐熱温度など) については未解明のようです。Penicillium sabulosumの培養性状や形態学的特徴はPitt and Hocking(1985)に詳述されていますので参照ください。その中で, Penicillium属の同定培地で使用されるツァペック酵母エキス寒天培地Czapek yeast extract agar (CYA) 上で37℃・1週間培養で直径3〜6 mm程のコロニー成長があると記載されていることから, その他のPenicillium属菌に比べると高温 (37℃) では比較的生育が遅い菌種であると考えられます。

〔参考文献〕
Pitt JI and Hocking AD: Interfaces among genera related to Aspergillus and Penicillium. Mycologia 77(5): 810〜824, 1985.
宇田川俊一 (編). 食品のカビ汚染と危害 (食品のカビ1_基礎編). 幸書房, 東京. 2004.

(テクノスルガ・ラボ 喜友名 朝彦) 


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