■ Penicillium属のマイコトキシン産生培地 | |
【質問】
はじめまして。今年から微生物を専門とした研究室に所属することになり, この夏, チーズを試料とした実験を卒論の研究の練習がてら行なっています。文献やインターネットを利用して色々と調べたのですが解決に至らず, メールさせていただいております。 まず, (1) Penicillium属のマイコトキシン生産性を定性的に調べる培地組成を教えてください。 加えて, (2) YES培地の組成と出現コロニーの判定法なども教えていただけるとありがたいです。乱文失礼いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。 【回答】
“定性的”か否かにについては不明ですが, Czapek yeast autolysate agar (CYA), Yeast extract sucrose agar (YES), またはPotato-dextrose agar (PDA)がよく使用されているようです。Penicillium属のカビ毒や代謝産物について網羅的にまとめたFrisvad et al.(2004)の文献が非常に参考になるかと思います。 〔参考文献〕
オランダの菌株保存機関であるCBSのホームページからこの論文を全文pdfでダウンロードできます[http://www.cbs.knaw.nl/simonline/index.htm] (2) YES培地の組成と出現コロニーの判定法
・YES培地 (酵母エキス・スクロース寒天培地)の組成:
また, (1)で紹介した ・CYA培地 (ツァペック酵母エキス寒天培地) の組成は:
となります。「出現コロニーの判定法」というものは知られていません。 Aspergillus属菌に知られるアフラトキシンなどのカビ毒では特殊培地における呈色反応によるカビ毒産生の判定法が知られていますが, Penicillium属では知られていません。 (テクノスルガ・ラボ・喜友名 朝彦)
(1) 酵母エキスの重量が未記載です。
【回答の訂正】
・CYA培地(ツァペック酵母エキス寒天培地)の組成:
pHについては, 文献, 菌株保存機関によってpH6.7, pH 6.3±0.2, pH6.0-6.5と変動幅があります。培地の組成についても同様で, 上記の組成にさらに微量元素などを添加する場合もあります。 (テクノスルガ・ラボ・喜友名 朝彦) |