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【質問】
●●県の食品衛生関係の検査センターで細菌検査を行っている■■と申します。
セレウス菌の検査を行っているのですが, 今までは生化学性状試験とクリスタル・トキシンの存在の確認をしてきました。生化学性状試験ではVP試験とカタラーゼ産性能を確認していたのですが,
これからは嫌気性寒天培地上での発育能と pH 5.7 での発育能も確認しようと考えています。そこで指針をみますと,「pH
5.7 に調整した普通ブイヨン」と書いてあるのですが, どのように pH 調整すればよいのでしょうか???
稚拙な質問とは思いますが, 詳しく教えていただけたらと思います。
【回答】
普通ブイヨンのpHは7.0±0.2です。pH 5.7の普通ブイヨンを調製したい場合はpH値を7から5.7まで下げなければなりません。pHの修正には酸として“1Nの塩酸”が多く用いられています。また逆に,
アルカリ側に調製したい場合には4%NaOH(水酸化ナトリウム)または10%Na2CO3(炭酸ナトリウム)の水溶液が用いられています。オートクレーブ滅菌前にpHを修正した培地は,
その後加熱されることによりpHがずれることがあります。例えばNaOHでpHを修正した場合には,
pHが0.2程度酸性に傾き, Na2CO3の場合は逆にアルカリ側に傾くことがあります。厳密にpH値が要求される場合は,
このことを念頭において, 予め“掛け値”をしておいた方がいいです。またpHを調整する際に,
酸あるいはアルカリの入れ過ぎで, 酸性とアルカリ性の間を行ったり戻ったりすることは培地の塩濃度
(HCl+NaOH = NaCl+H2O) が高くなりますので注意が必要です。
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