08/05/02
Pseudomonas stutzeriの病原性と分布
【質問】
 初めての投稿ですが, いつも拝見し, 参考にさせて頂いております。検査センター勤務の■■と申します。

 私の担当している検査材料の耳漏検体よりPseudomonas stutzeriが検出されました。Pseudomonas属は日和見感染などを起こすと言われているので, 検出されてもおかしくないと思うのですが, 依頼病院より菌種までの報告を求められており, Pseudomonas stutzeriの病原性や分布などはPseudomonas属での病原性にさらに特徴などはあるのでしょうか???

お手数をおかけしますが宜しくお願いします。

【回答】
 Psudomonas stutzeriは土壌細菌の一種で, 他のPseudomonas属菌と同様に広く自然環境に分布する菌ですが, 臨床材料から比較的よく分離されるPseudomonas aeruginosa, Pseudomonas fluorescens, Pseudomonas putiaなど, 他のPseudomonas属の菌種とは蛍光色素を産生しないという点で異なっています。最初にヒトの髄液から検出されたとされますが, ヒトへの感染は稀で, 多くは日和見感染であると言われています。最近の報告でも, 白血病患者における膝関節炎やHIV陽性患者における肺炎, あるいは刃物の刺し傷からの感染や硬膜下の手術後の脳膿瘍などが認められます。ごく稀には健康人における感染はあるものの, 何らかの全身的あるいは局所的な免疫不全状態にあるヒトにおける感染がほとんどのようです。自然環境に広く存在するため, 汚染菌として検査材料に付着してくることも当然考えられます。質問の耳瘻検体の場合, 検出菌量と他の病原細菌の共存の有無を参考にして起炎性を判断する必要があると思います。白血球に富む検査材料の中で他の病原菌がほとんど存在せず, P. stutzeriのみが多数存在しているのであれば起炎菌である可能性も出てきますので, 基礎疾患や治療歴などの患者背景を詳細に調べてみる必要もあるかと思います。

(公立玉名中央病院・永田 邦昭)


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