■ 結核菌のPZA (pyrazinamide) 薬剤感受性検査 | |
【質問】
臨床微生物迅速診断会にはいつも有益な情報を提供していただき感謝しております。教えていただきたいことがあります。 結核菌のPZA (pyrazinamide) 感受性検査についてです。現在ベクトンデイキンソン社の「バクテックMGIT960AST結核菌薬剤感受性検査用ミジットシリーズ」を使っています。この検査法と極東製薬の「結核菌感受性PZA液体培地」との相関はいかがでしょうか??? ミジット法ではPZA濃度は100のみですが, 極東のPZA液体培地では100と400の2濃度があります。実は, ミジット法で耐性で, 極東のPZA液体培地法では100では0と同じ発育ですが, 400では半分くらいの発育の結核菌株があり, 判定に迷っています。こういう場合, ピラジナミダーゼ (PZase) 活性の測定をして確認すべきでしょうか??? 【回答】
〔質問-1〕べクトンデイキンソン社の「バクテックMGIT960AST結核菌薬剤感受性検査用ミジットシリーズ」の検査法と極東製薬の「結核菌感受性PZA液体培地」との相関はいかがでしょうか??? ミジット法ではPZA濃度は100のみですが, 極東のPZA液体培地では100と400の2濃度があります。 〔回答-1〕両者を直接比較検討した成績は見当たらないですが, 両者ともClinical and Laboratory Standards Institute (CLSI) に準拠して開発されています。「バクテックMGIT960AST結核菌薬剤感受性検査用ミジットシリーズ」はCLSI基準に基づいて薬剤濃度が100μg/mlに設定されております。他方,「結核菌感受性PZA液体培地 極東」においては, CLSIのM24勧告法, Middlebrook 7H10 agar法と比較評価を行い, 薬剤濃度100μg/mlでは95.4%で一致する成績が確認されています。また菌株によっては100μg/ml濃度では極微量の菌発育を示すものもあることから,より正確な判定を可能とするため, その4倍濃度の400μg/mlが加えられた経緯がります1)。 〔質問-2〕ミジット法では耐性で, 極東のPZA液体培地法では100では0と同じ発育ですが, 400では半分くらいの発育の結核菌株があり, 判定に迷っています。こういう場合, ピラジナミダーゼ (PZase) 活性の測定をして確認すべきでしょうか??? 〔回答-1〕質問者からの文面からすると, 質問者の菌株は「結核菌感受性PZA液体培地 極東」法においても“耐性”であると判定されます。理由は,PZA 100μg/mlの培地ですでにPZA 0μg/mlと同程度の菌発育が見られているからです。「結核菌感受性PZA液体培地 極東」法での判定は, まず100μg/mlで判定し, その濃度で判定が困難な場合のみ400μg/mlを観察するとなっている筈です。また, PZase活性試験を検討するのも一法とは思いますが, PZase が陽性でも, PZA耐性の株も存在します2)。 いずれにしろ, PZAの薬剤感受性試験は酸性培地という菌発育には好ましくない条件で培養した菌発育の有無を判定することから, 通常の薬剤感受性試験よりもはるかに難しいと理解してください。 〔参考文献〕
(琉球大学・潮平 知佳)
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