07/10/09
■ クオンティフェロン (QFT) 陽性の病棟看護師
【質問】
 いつも勉強させていただいています。私は感染対策室に勤務する検査技師です。ある事情でQFT検査を受けた病棟看護師で結果が「陽性」でした (レントゲンに影はなく, 症状もありません)。事情を考えて予防投薬が準備されています。病棟は老人が多い病棟です。質問は2点です

(1) 同じ職場の職員のレントゲン・ツ反・QFTなど, 臨時の検診は行わなくてもよいでしょうか??? 

(2) もし向こう1年以内に同じ職場の他の職員が結核を発症した場合, 検診を行っていなければ, 職責者の責任を問われる可能性があるでしょうか??? 

(3) この件に関して, むしろ地域の保健所に相談すべきでしょうか???

【回答】
質問1: この病棟看護師さんはレントゲンに影はなく, 症状もないとのことですが, 喀痰検査の結果は如何でしたでしょうか??? 喀痰検査が「陰性」ならば, この病棟看護師さんは「感染性の結核患者」ではありませんので, QFT検査「陽性」というだけで同じ職場の職員に対して, 所謂「接触者健診」は必要ないと思いますが,「陽性」ならば保健所へ届出の上, 協議が必要となります。

 また「ある事情」とはどの様な事情か分かりませんが, 例えばこの病棟にこの看護師さん以外に「感染性の結核患者」がいて, その方から感染した可能性があったのでQFT検査を行ったのであれば, 他の職員に対する健診の実施について保健所と十分協議する必要があります。

 なお,「感染性の結核患者」とは,「喀痰等を介して空気中に結核菌を排出していて, 他者へ感染させる可能性のある (感染源となりうる) 結核症に罹患した患者」と定義されており, この「感染性の結核患者」との接触者が接触者健診の対象者となります。

 入職時のQFT検査で陽性の人については, 必ずしも最近の感染による陽性を意味しているとは言えませんが, 医療従事者という「発病すれば周りに影響の大きい職種」であることを鑑みて, 潜在性結核として治療を受けることがQFTの使用指針で薦められています。

質問 2: もし向こう1年以内に同じ職場の他の職員が結核を発症した場合, 検診を行っていなければ, 職責者の責任を問われる可能性があるでしょうか???

 感染症法第五三条に,「労働安全衛生法第二条第三号に規定する事業者は・・・(中略)・・・結核に関わる定期の健康診断を行わなければならない」とあり, また感染症法施行令第十二条により, その定期及び回数は「毎年度」,「一回」とされています。従いまして, 定期的に健康診断を行い, 結核の早期発見に努め, 発症を予防しなければなりません。

質問 3: この件に関して, むしろ地域の保健所に相談すべきでしょうか???

 地域の保健所に相談された方が, さらに詳しい情報を得ることができると思います。

(日本ビーシージー製造・山崎 文子)


戻る