09/04/07
■ R2A培地での培地性能試験
【質問】
 私は●●県公衆衛生検査センターの■■と申します。食品, 医薬品, 水の細菌検査を日常業務としています。早速ですが, R2A培地の培地性能試験に関してお尋ねします。

 M. extorquens (NBRC15911) の菌株を使用し, R2A培地に塗沫培養しましたがコロニーを計測できませんでした。培養温度, (培養) 期間, 菌液調製など, どの項目を見直していったらコロニー形成が可能になるのでしょうか??? 以下の条件で培養しました。

 M. extorquens (NBRC15911) は25℃, 3日間滅菌水中 (貧栄養状態) で予め調製。予め調製した菌をR2A培地にて25℃, 7日間培養。7日後コロニーが確認されなかった為, 14日目まで培養を継続したがコロニーは確認されず。

【回答】
 質問者の試験手順には問題がないと考えます。それではなぜ, コロニーの形成がないのか??? どこに問題があるのか??? 回答者なら, 以下の点に注意して再検討します。

(1) 接種菌液濃度は検出できる範囲内に調製できていたか??? 菌液を希釈し過ぎると生えてこない可能性は高くなります (第十五改正日本薬局方には1 mlあたり50〜200 CFU前後になるように菌液を調製すると記載している)。

(2)用いた菌株の生育性 (viability) はどうだったか, 問題なかったか??? これを検証するためには, R2A培地に接種すると同時にM. extorquensの生育培地 (NBRC15911生育培地: polypepton 10 g, yeast extract 2 g, methanol 5 ml, MgSO4_7H2O 1 g, agar 15 g, 精製水 1 L, pH 7.0)あるいは標準寒天培地にも同時に接種し, 陽性コントロールとして確認が必要と考えます。

 また, 使用したR2A培地にP. fluorescensなど他の菌株 (第十五改正日本薬局方に記載ある) が生育するか否かの確認を行うことで培地に問題がなかったかも検証できます。これらの検証項目を含め, 再試験してみては如何でしょうか。問題の箇所を推定できると考えます。

(テクノスルガ・ラボ 立里 臨)

【質問者からのお礼】
 再検討事項を提案ありがとうございました。すでにP. fluorescensをR2A培地の性能試験として行ったところ問題なく, 50〜200 cfuのコロニーが計測されましたので, 他の2項目を再度検討して実施してみたいと思います。


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